半藤一利さん、妻は漱石の孫 交流あった熊本の関係者、死惜しむ声

熊本日日新聞 | 01月14日 15:00

夏目漱石句碑除幕式であいさつする半藤一利さん、末利子さん夫妻=1995年4月、熊本市

 12日に90歳で亡くなった作家の半藤一利さんは、1996年の夏目漱石来熊100年記念イベントをきっかけに熊本とのつながりを深めてきた。交流があった県内関係者からは半藤さんの死を惜しむ声が多く聞かれた。

 半藤さんは、漱石来熊100年を記念して96年に舞台化された小説「草枕」の脚本を手掛け、この年に創設された「草枕文学賞」(~2002年)の選考委員も務めた。

 草枕文学賞などを通して知事時代に交流があった潮谷義子さん(81)は「何事にも誠実で丁寧に対応される方で、熊本の漱石関連行事を盛り上げてくださった。日本の戦後を総括された半藤先生の歴史観には、私たちが学ばなければならない要素が多い。一つの大きな時代が終わったような気がして寂しい」と訃報を残念がる。

 漱石来熊100年記念イベントに関わった元熊本大教授の中村青史さん(86)は1980年代、漱石関係の情報を聞くために「文芸春秋」の編集部長だった半藤さんを訪ねたのが初めての出会い。「歴史家としての嗅覚に優れ、物事を必ず自分の足と目で確かめる人だった。親族としても、研究者としても、熊本が漱石文学の重要な舞台だったことを認識していた大事な人だった」と悔やむ。

 96年の「くまもと漱石博」で事務局を担当した元熊日編集局長の平野有益さん(70)も「半藤さんの妻末利子さんが漱石の孫という縁もあり、“漱石探偵家”の半藤さんは漱石博に全面的に協力してくださった。熊本について『漱石にとって精神的に深いつながりのある土地』とも語っていた」と振り返る。関連イベントで参加者が漱石らに扮[ふん]する「ミスター漱石&マドンナコンテスト」では、面白がって夫妻で審査員を引き受けたという。

 2002年に上益城郡で開催された県民文化祭の時も、旧清和村(現山都町)が制作した清和文楽「雪おんな」の脚本依頼に対し、「新作文楽を3500人の小さな村が作ることに感動した」と快諾した半藤さん。

 元清和村長の兼瀬哲治さん(74)は「個人的にもつながりができ、気持ちは恐れ多いがフレンドリーにお付き合いした。著書を出版した時には2度も推薦文を書いていただいた。ご縁とご恩を大事にしていきたい」と語った。(魚住有佳、園田琢磨、三國隆昌、浪床敬子)

記事アクセスランキング

  1. ${ranking.title}

※アクセス数(24時間以内)を元に集計

フォローする

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • youtube
  • note