新型コロナ、気を付けたが… クラスター発生の白藤苑(熊本市) 近隣施設に衝撃

熊本日日新聞 | 12月27日 08:50

新型コロナウイルスの大規模クラスターが発生した「白藤苑」=26日、熊本市南区(上島諒)

 熊本市南区の介護老人保健施設「白藤苑」で発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)は、26日午後7時時点で計61人に拡大した。高齢者は重症化リスクが高いだけに、県内の施設関係者はさらに緊張感を高めている。

 熊本市によると、併設する通所リハビリ施設を利用していた南区の80代男性の感染が23日に確認され、24日以降、職員と入所者の感染確認が相次いだ。白藤苑関連の感染者は現時点で入所者・利用者47人、職員14人に上り、今後さらに増える恐れがあるという。

 運営する医療法人社団「松下会」の関係者によると、感染対策は関連施設を含めて徹底しており、発熱患者を建物外の待機室で診察するなどしていたという。関係者は「これだけ気を付けても感染者が出るならどうしようもない。クラスターはどこでも起こり得ると思うしかない」と諦め顔で話す。

 一方、市保健所の調査では、検温や消毒などは適切に行っていたが、職員が食事などの際に利用する休憩室は窓がなく換気が不十分だった。入所者が使う食堂は一方向に座るのが望ましいが、向かい合わせで食事を取ることもあったという。

 施設は大量の防護服などが運ばれ、物々しい雰囲気になった。職員の1人は「コロナ発生時の対応は学んでおらず、クラスターを想定した訓練もしておくべきだった」。また、ホームページによると入所者100人のうち約30人は併設するあけぼのクリニックで透析治療を受けているといい、関係者は「コロナに感染すれば命にかかわる」と懸念する。

 白藤苑のクラスターは近隣の高齢者施設にも衝撃を与えた。通所リハの利用者が別の施設のショートステイを利用している場合もあり、感染が広がりかねないためだ。

 近くの施設関係者は、自施設の利用者が白藤苑を利用していないことを即座に確認し、胸をなで下ろした。「職員の家族が別の施設で働いている場合もあり、近隣施設でのクラスターは非常に緊張する。感染を広げないためにも施設間の情報共有が必要だ」と語る。

 高齢者施設のクラスター発生で大きな課題となるのは、サービス維持に必要な職員の確保だ。熊本市高齢福祉課は「白藤苑は規模が大きく法人全体の職員も多いので、同一法人内で対応できるか相談したい」と言う。

 県は、法人内でのカバーが難しい場合に備え、他施設から応援職員を派遣する仕組みを整えている。ウイルスのない「グリーンゾーン」、陽性者らに対応する「レッドゾーン」といった条件ごとに派遣できる職員をリスト化。9月末時点で延べ約520人が登録しており、派遣が必要な場合は熊本市と調整するという。(福井一基、久保田尚之、深川杏樹)

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