家族面会、正月帰宅は… 高齢者施設、コロナで苦悩の年末

熊本日日新聞 | 2020年12月23日 10:34

母ひろ子さん(右)の面会に週1回通う大塚久美子さん。コロナの感染拡大が続き、対面の面会を取りやめる施設が増えたが、2人はビニールシート越しに会話を楽しむ=17日、熊本市西区

 熊本県内の新型コロナウイルス感染リスクレベルが最上位のレベル5に引き上げられ、重症化リスクの高い高齢者施設でも厳戒態勢が続いている。家族との面会や、例年実施してきた入所者の正月の一時帰宅では対応が分かれており、感染リスクを抱えて難しい判断を迫られている。

 「もういーくつ寝るとーお正月。1年過ぎるのは早いね」

 17日、熊本市西区の特別養護老人ホーム「おとなの学校八角堂校」。大塚久美子さん(65)は母ひろ子さん(88)相手に何度も歌を口ずさんだ。2人の間には感染防止のビニールシート。ひろ子さんはイヤホンを着け、大塚さんがスマホを通して語りかけた。

 同施設は7月以降、入所者の居室の窓越しに面会を実施。11月からは面会希望者が外から入れる廊下部分にパーテーションを手作りし、対面できるようにした。週1回面会する大塚さんは「コロナ前は手を取って歌うと手足を動かして喜んだ。触れ合えないのは残念だけど、顔を見るだけでも安心する」と母親を見つめた。

 同施設の入所者は29人。平均して1日1家族は面会に来るといい、川本義和施設長は「認知症の入所者でも家族が来たときの表情が全然違う。できる限り面会を続けたい」と話す。ただし、正月の外出・外泊は禁止とし、藤崎八旛宮(同市中央区)を例年数人ずつで訪れていた初詣は、密にならない地域の神社に職員が個別に連れていくという。

 コロナ禍となって初めて迎える年末年始。施設側は入所者の面会や一時帰宅は家族とのつながりや活動性の低下を防ぐ点で重要視しているが、感染拡大が続く中、慎重にならざるを得ない状況だ。

 特別養護老人ホーム「みゆき園」(同市南区)は当初、玄関ホールと入所者の居室をオンラインでつないで面会を実施。ただ、リスクレベル5以降は自宅からのオンライン面会に切り替えて外部の出入りを禁じ、正月の外出・外泊も取りやめた。

 黒土達也参与は「体調が不安定な入所者が多く、一人の感染者も出すわけにはいかない」と危機感を強める。帰省などで県外へ移動する職員にはPCR検査を求める念の入れようだ。

 熊本市老人福祉施設協議会の宮崎千恵会長は「レベル5以降は対面の面会を見合わせている施設が多い。できれば面会を続けたいところで、どこも悩ましげだ」と話す。

 宮崎会長が施設長を務める特別養護老人ホーム「こぼり苑」(同市南区)も面会をオンラインに限定。正月の外出は短時間で認めるか個別に判断し、初詣も「リモート参拝」などを考えているという。「正月は家でおせちを、という利用者もいる。正月らしい雰囲気を味わってもらえるよう工夫したい」としている。

 (福井一基、深川杏樹)

記事アクセスランキング

  1. ${ranking.title}

※アクセス数(24時間以内)を元に集計

フォローする

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • youtube
  • note