歴史ある町に元気を 熊本地震後に出店、20代経営者が奮闘

熊本日日新聞 | 2021年04月08日 11:00

被災町屋を改修した建物で、コーヒー豆店・カフェ「珈琲回廊」を手掛ける村井隆太さん。「城下町の雰囲気を生かしたビジネスで、地域活性化に貢献したい」と話す=熊本市中央区

 熊本地震で、「町屋」と呼ばれる歴史ある商家や住居が多数被災した熊本市中央区の新町・古町地区。街並みを生かそうと、地震後に店を出した20代の経営者2人が奮闘している。被災町屋を改修したコーヒー豆店・カフェは、連日300人が訪れる繁盛店に。今年2月には洋服・雑貨店の開業が後に続いた。コロナ禍が地域に打撃を与える中、2人は「前進あるのみ」と夢の実現を目指す。

 中央区西唐人町。築約120年の町屋にある「珈琲回廊(コーヒーギャラリー)」は、ひきたてのコーヒーの香りに包まれ、多くの客でにぎわう。

 営むのは西区島崎出身の村井隆太さん(29)。2015年、「幼い頃からの遊び場だった」という新町で創業。翌年に地震に遭った。被災した町屋が相次いで解体されるのを目の当たりにし、心が揺れた。

 「街並みを維持するには、そこで商売をして建物を活用しなければ」。改修する町屋の所有者に直談判し、19年10月、約300メートル離れた場所に移転・開業した。

 店は、町屋の風情がありながらモダンな雰囲気。豆は海外の農園から直接調達する。客数は開店直後の1・5倍と順調に増え、3月には会費制の飲み放題のサービスもスタート。会員にはタンブラーを配り、持ち帰り容器の削減を促す。

 一帯の活性化を目指し、近くの土地も借り受け、キッチンカーを日替わりで誘致。「若者が出店したくなる地域になったら面白い」と、将来を思い描く。

 その珈琲回廊の道沿いに2月、開業したのは洋服・雑貨店「TRUSS GENERAL STORE」。中央区南坪井町のセレクトショップに勤めていた田中昇さん(29)が地震を機に、「人生いつどうなるか分からない。好きなことをやろう」と思い立ち、念願の独立をかなえた。

 お気に入りの1960年代の英国製バイク「トライアンフ」をレストア(復元)して店頭に飾ったり、周囲と調和し清潔感のある白を内外装の基調にしたりと、こだわりの店作り。「ゆくゆくは海外にも商品の買い付けに行きたい」と夢を膨らませる。

 珈琲回廊の村井さんとは同級生だ。「頑張る友人の姿が背中を押してくれた。若い力で、この街を盛り上げたいんです」(中原功一朗)

 ◇新町・古町地区の町屋 熊本市の調べでは、新町・古町地区の町屋(1950年以前に伝統工法で造られた木造建築物)は、熊本地震前に359軒あった。その後の被災で相次いで解体され、2020年5月時点では約半数の181軒に減っている。

熊本地震を機に独立を志し、洋服・雑貨店を開業した田中昇さん。レストア(復元)した1960年代の英国製バイクを飾るなど、店づくりにはこだわった=熊本市中央区

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