家計不安、1年で倍増 自宅再建、増える出費の負担重く

熊本地震3年 被災者150人追跡調査

熊本日日新聞 | 2019年04月13日 00:00

 熊本日日新聞社は12日、熊本地震で住宅被害を受けた県内被災者150人を対象に定期的に現状などを聞き取っている追跡調査の結果をまとめた。家計・生活費といった金銭的な面で不安を感じている被災者がこの1年で倍増。自宅再建費用など生活環境の激変で強いられた予定外の多額の出費が震災3年を迎えた今、被災者の肩に重くのしかかっている状況がうかがえる。

 調査は2016年10月、17年4月、18年4月に続き4回目。今回は、22~88歳の125人(前回137人)から回答を得た。

 「現在や今後の生活に不安や不満があるか」と聞いたところ、「ある」は34%(42人)、「どちらかといえばある」は20%(25人)。合計54%で、1年前の前回調査と同じ割合だった。

 不安や不満を感じている内容を複数回答で尋ねると、最多は「住まい」の25%(31人)で、前回の31%(43人)より割合、人数とも減った。定住できる住まいの確保が一歩進んだためとみられる。

 一方、前回10%(14人)だった「家計・生活費」が2倍を超える23%(29人)に急増し、2番目に多くなった。理由としては、再建した住宅のローン返済額の増加や、子どもの教育に備えた貯金の減少などを挙げる人が目立った。
 玉名市の無職男性(68)は「収入は月3万円余りの年金のみ。貯金もなく、生活費は会社員の次男の収入に頼っている。次男名義の住宅ローンの返済や病気療養で出費がかさみ余裕がない」と窮状を訴えた。

 「立野(南阿蘇村)に家を残したまま、新たに中古の一戸建てを購入するので二重ローンになる。子どもの教育費や親の介護も不安」=大津町の看護師女性(54)、「ためていた教育資金の一部を自宅再建に充てたため、ローン返済と子どもの教育費が心配」=嘉島町、非常勤職員女性(51)=といった声もあった。

 不安や不満で3番目に多かったのは「仕事」の22%(27人)で、前回15%(20人)よりも増えた。

 西原村の建設業の男性(39)は「復興関連で公共工事が増えてはいるが、元請けから仕事がもらえるかどうか不安。会社を維持できるか」。南阿蘇村の会社役員の男性(59)は「経営する運送会社のトラックの台数を減らしたこともあり、売り上げが地震前に戻らない」とこぼした。
 不安や不満に「健康」を挙げた人は、18%(22人)で前回17%(23人)とほぼ変わらなかった。(熊本地震取材班)


 熊本日日新聞社が12日まとめた、熊本地震で住宅被害を受けた被災者150人を対象に続ける追跡聞き取り調査では、住まい確保の見通しなど環境の変化のほか、「復興を実感するか否か」などの心境も尋ねた。さらに、地震半年後から4回目を数える今回の調査では、4月の統一地方選を踏まえ、行政や政治への評価についても聞いた。(熊本地震取材班)

●住宅・復興 17%なお「再建めど立たず」

 住まいを「再建・確保できた」「見通しが立った」とする人は8割に上り、1年前の前回調査の6割を上回った。一方、2割弱が「見通しが立っていない」と回答。地震から3年を経て、今なお生活基盤が不安定な被災者の現状が浮き彫りになった。

 住まいの再建・確保の「見通しが立っていない」としたのは17%(21人)。前回の32%(44人)から半減した。見通しが立たない理由は「再建の資金が足りない」「県の土地区画整理事業が終わらないと再建できない」「希望に沿う賃貸住宅が見つからない」などだった。

 「住まいを再建・確保できた」は62%(77人)、「見通しが立った」は18%(22人)で、計80%を占め、前回の62%(86人)から18ポイント増えた。被災した自宅を解体し、地震前から住んでいた土地に家屋を再建した人や、再建を予定する人が大半を占めた。

 県全体の状況を見渡し、復興を実感するかどうかを尋ねた質問では、「実感する」は26%(32人)で、前回の9%(13人)から17ポイント増加。「ある程度実感する」とした41%(51人)と合わせると67%。前回より22ポイント増えた。

 ただ、「全く実感していない」が9%(11人)、「あまり実感できない」が18%(22人)で計26%が実感できないと回答した。

 今回初めて、自分の暮らしに限って「震災前の生活に戻った実感があるかどうか」を尋ねたところ、「実感する」が52%(65人)に対し、「実感できない」も40%(50人)。実感できない理由は、住まいが見つからないほか、「住み慣れた土地を離れ、近所付き合いがなくなった」「地震で仕事に影響が出て収入が減った」などが目立った。

●政治対応 復旧や支援策「評価」62%

 地震後の政治の対応について、62%(77人)が評価した一方、インフラ復旧の遅れや被災者支援制度の不備を指摘する声も多かった。

 「熊本地震における知事や市町村長、県議会、市町村議会の対応」について「評価する」は21%(26人)、「ある程度は評価する」は41%(51人)。一方、「評価しない」は9%(11人)、「あまり評価しない」は12%(15人)だった。「どちらともいえない」は17%(21人)。

 「評価する」の理由は「災害査定や工事の発注が早かった」「政治の力が無ければもっと復興が遅れていた」。「評価しない」は「道路などの復旧は進んでいるが、末端まで支援が届いていない」「仮設で議員の姿を見かけたことはなかった」などの声が上がった。市町村議員に比べて「県議の顔が見えない」との指摘も多くあった。

 「必要な公的支援」や「災害対応や復旧復興で地方政治に望むこと」を尋ねたところ、「一部損壊の世帯へも手厚い支援を」「高齢者などインターネット弱者にも支援制度の情報が行き渡るようにするべきだ」など支援制度の拡充や利用しやすさへの注文が出た。

 復旧復興や被災者支援事業に関しては「地方に行けば行くほど、政治に声が届きづらく、細かな道路などの復旧の遅れを感じる」「一斉に公的支援を打ち切らず、生活保護世帯など弱い立場の被災者には支援を継続してほしい」など、地方や弱者への配慮を求める声が上がった。

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