高校生就活にコロナの影 熊本県内、飲食や製造で求人減

熊本日日新聞 | 02月23日 11:00

 3月卒業予定の熊本県内高校生の就職内定率は、昨年12月末時点で89.4%と、選考開始2カ月半時点で過去最高に達した。人手不足による「売り手市場」を反映しているとみられる一方、関係者は「内定率では見えてこない部分がある」として、新型コロナウイルス感染拡大の影響が出ていると口をそろえる。

 「3年生に上がる前にいきなり休校になって、先生への相談なども難しくて不安があった」「時間はあったから、自分の長所はどこだろうって自分と向き合う時間は持てた」

 熊本商高3年の桐原百花さん(18)と松尾愛子さん(18)が就職活動を振り返った。桐原さんは日本郵便に、松尾さんは肥後銀行に就職が内定しており、新型コロナ禍で迎える春からの社会人生活に希望と不安を抱える日々だという。

 就職主任の高野里紗教諭(43)によると、同校では2020年度、例年より30人ほど多い約150人が就職を希望。12月までに全員が内定を得た。「コロナでスケジュールが繰り下げになるなど大変だったが、生徒にとっては準備時間が持てて良かった」と話す。

 県内では毎年、3500人前後の高校生が就職を希望し、内定率も右肩上がりだ。しかし、県高校進路指導研究会長の南弘一・千原台高校長(56)は「今年はコロナの影響で希望する業種に進めず、就職を見送って専門学校への進学に切り替えた生徒も多いと聞いている」と明かす。

 実際、熊本労働局によると、就職希望の県内高校生は12月末時点で3195人と、前年の同時期と比べ1割強減っている。「逆に新型コロナが家計を直撃して進学を諦めた生徒もいる。影響は大きい」と南校長。

 好調だった企業の高卒求人にも陰りが見える。労働局によると、県内高卒予定者向け求人は、12月末時点で6万2264人で2割弱減っている。

 地方経済総合研究所(熊本市)の濱洲拓哉研究員(34)は「コロナ禍の影響を強く受けた宿泊・飲食サービス業は、求人数、内定者数とも落ち込みが大きい」と強調。高卒求人が多い製造業でも同じ傾向が見られ、「(20年度は)内定率の上昇と就職環境をイコールで結び付けることは難しい」と指摘する。

 熊本商高キャリアサポーターの小川良一さん(71)は「コロナ禍で企業はより優秀な人材を求めており、近年の売り手市場から買い手市場への変化が訪れつつあるのかもしれない。21年度以降の動向を注視したい」と話した。(太路秀紀)

 ◆高校生の就職活動 高卒予定者の就活ルールは毎年、学校関係者と経済団体、国が協議して決める。学校に来た求人票を見て希望した生徒が、校内選考を経て学校の推薦を受け、就職試験を受ける形が一般的。2020年度は新型コロナで就活スケジュールも遅れ、選考開始が10月半ばと例年より1カ月繰り下げになった。

新型コロナ禍での就職活動を振り返る熊本商高3年の桐原百花さん(右)と松尾愛子さん(右から2人目)=18日、熊本市中央区

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