被災郵便局の休業続く 八代市坂本町、住民ら現金出し入れできず
熊本日日新聞 | 2021年02月08日 11:00



昨年7月の豪雨で甚大な被害を受けた熊本県八代市坂本町で、五つある郵便局のうち二つが被災して休業が続いている。住民たちは現金の出し入れや小包の発送ができず、不便な状況だ。復旧の遅れに「このまま郵便局が閉鎖されるのでは」と心配する声も漏れる。
「生活に身近な郵便局がないと、とにかく困っとですよ」。球磨村と隣接する中津道地区の自宅が全壊し、同じ地区の高台のおい夫婦宅に身を寄せる中下頼子さん(82)は悲痛な表情で訴える。自宅に程近い上松求麻郵便局は球磨川の氾濫で水没し、建物の周囲には黄色いテープの規制線が張られたままだ。
高齢化が進む同地区は車を持たない人が多い。中下さんは、市の乗り合いタクシーを乗り継ぎ、1時間以上かけて市街地の八代駅前の郵便局に出向いている。乗り合いタクシーの運行は週3回で便数も限られており、「毎回大変」と困り顔だ。
町中心部にある坂本郵便局も天井まで浸水。同局をよく利用していたという中谷地区の女性(79)は「災害前は、病院も買い物も何でも用事は坂本で済ませられていた。今は本当に不便か」。知り合いの車に乗せてもらうなどして市街地の郵便局に行っている。
同町では、郵便物の配達やポストの集荷はされるが、小包の発送はできない。利用可能なほかの三つの郵便局は、離れた場所にあり、被災した2局の地区からの交通アクセスはない。
肥後銀行はATM(現金自動預払機)を備えた店舗車を市坂本支所の仮設庁舎に定期的に配置し、地元JAは町内各地を移動店舗車で巡回している。日本郵便九州支社(熊本市)は現時点で対応しておらず、上松求麻郵便局近くの西田フミ子さん(78)は「月1回でいいので、移動式の郵便局が来てもらえれば助かる」と話す。
同支社によると、球磨村の渡局と神瀬局も被災し、復旧していない。坂本局は、現在地とは別の場所でプレハブでの再建に向けて協議を進めているが、坂本町の上松求麻局と球磨村の2局は「再開に向けて検討していきたい」とするにとどめ、具体的なスケジュールなどは示していない。
上松求麻局を利用していた中下さんは「このまま再建せんということはなかよね」と気をもんでいる。(元村彩)
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