巡査の自殺、公務災害認定 熊本県警「真摯に受け止める」

熊本日日新聞 | 2020年11月26日 07:20

 2017年9月に自殺した熊本県警玉名署刑事課の渡邊崇寿[たかとし]巡査=当時(24)=について、地方公務員災害補償基金県支部が、公務員の労災に当たる公務災害と認定したことが25日、遺族側弁護士への取材で分かった。13日付。長時間労働による心理的負荷が原因として遺族が昨年9月に認定を申請していた。

 遺族側弁護士によると、認定通知には理由が記載されておらず、開示請求して明らかにする方針。今後、県警に損害賠償を求めるという。

 渡邊巡査は高校卒業後、12年4月に県警入り。13年1月に玉名署に配属され、17年4月から刑事課で勤務。同9月、福岡県内の車内で、「つかれたので休みます。地獄も怖いですが、明日がくることがもっと怖い」などと遺書を残し、死亡しているのが見つかった。

 亡くなる直前5カ月間の通常勤務外の月平均労働時間は、当直を含め133時間と、労災認定の目安とされる80時間を大幅に超過。県警は調査報告書で「要因の一つに刑事課員の長時間勤務の常態化」と総括していた。

 遺族側弁護士は「認定された超過労働時間や理由など詳細は不明だが、少なくとも長時間労働の実態は認められた」と評価。

 県警は「公務災害の認定を真摯[しんし]に受け止める。職員が亡くなったことは誠に残念であり、故人の冥福を祈ると共に、お悔やみを申し上げる」とコメント。遺族への直接謝罪も検討するという。(丸山宗一郎)