川上敏行さん死去 96歳 水俣病関西訴訟の元原告団長

熊本日日新聞 | 2020年11月24日 08:00

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川上敏行さん

 水俣病の被害拡大防止を怠った国、熊本県の責任を認める最高裁判決を勝ち取った水俣病関西訴訟の元原告団長、川上敏行(かわかみ・としゆき)さん=大阪府東大阪市=が18日、老衰のため死去した。96歳。通夜、葬儀は近親者のみで済ませた。

 水俣市出身。1968年に大阪へ転居し、73年に熊本県に水俣病患者認定を申請したが、処分保留が続いた。82年、関西地区に移り住んだ未認定患者らと共に国、県、原因企業チッソに損害賠償を求めて提訴。水俣病問題の解決を狙った95年の政治決着にも応じず訴訟を続けた。

 2004年、最高裁判決で国、県の責任が初めて確定。判決は、国の認定基準より幅広い被害も認め、水俣病特別措置法の制定など未認定患者救済への道を切り開いた。

 判決後も国の認定基準の見直しを求め続けた。自身は11年、申請から38年ぶりに患者認定された。