水俣病互助会の国賠訴訟、最高裁で審理へ 二審判決見直しの可能性

熊本日日新聞 | 2020年11月8日 07:45

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福岡高裁で敗訴した後、記者会見に臨む水俣病被害者互助会の佐藤英樹原告団長(左)ら=3月13日、福岡市中央区の福岡県弁護士会館(小野宏明)

 水俣病の胎児性患者らと世代が重なる水俣病被害者互助会の8人が国と熊本県、原因企業チッソに総額3億1千万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁が原告側の申し立てを受けて審理を開くことが7日分かった。弁論も開くことになれば、8人全員の請求を棄却した福岡高裁の二審判決が見直される可能性がある。

 原告側に対する最高裁の通知は4日付。最高裁が弁論を開く場合は二審判決を変更するケースが多く、原告代理人の山口紀洋弁護士は「新たな書面の提出も準備しており、弁論が開かれるように努力したい」としている。

 原告側が幼児期や胎児期に汚染魚を通してメチル水銀を摂取し、手足の感覚障害などを発症したと訴えたのに対し、今年3月の二審判決は「症状は他の疾病が理由」などと判断。原告側は「幅広い被害を認めた過去の最高裁判例にも著しく違反する」として上告していた。

 原告側は2007年に提訴。14年の一審熊本地裁判決は原告8人中3人に1億500万~220万円の賠償を認めたが、二審判決はこの3人を含む全員を棄却した。原告側は患者認定を求める行政訴訟も続けている。

 佐藤英樹原告団長(65)=水俣市=は「最高裁は過去にも、患者救済の門戸を広げる判断をしている。被害者の現状や医学者の経験を無視した二審判決を覆してくれると信じたい」と話した。(堀江利雅)