少人数、宅配…おせちも「ウィズコロナ」 熊本県内、商戦が本格化

熊本日日新聞 | 2020年10月27日 12:30

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21日に開設されたおせち料理の特設コーナー。早速、買い物客が来年用のおせちの見本を見ながら品定めしていた=21日、熊本市中央区の鶴屋百貨店

 新年を彩るおせち料理の予約受け付けが熊本県内の小売店などで本格化している。各店とも新型コロナウイルスの影響で年末年始を自宅で過ごす人が増えるとみており、少人数向けや宅配できる商品を充実させるなど、例年とは“ひと味”違う工夫が目立つ。

 熊本市中央区の鶴屋百貨店は、コロナ禍でオンライン受注が増えると見越して例年より3週間早い9月下旬にインターネットでの受注を開始。今月21日には本館地下1階に特設コーナーを設けた。

 会場には、取り分けずに食べられる「個食おせち」などの見本がずらり。計約160種類をそろえており、「幅広いニーズに対応できるよう、料亭の本格和風おせちなどの高額商品や少人数向け、子ども用など、品ぞろえを強化した」と吉崎泰祐セールスマネージャー(45)。

 売れ筋は2万5千円前後。コロナ禍による「巣ごもり需要」を背景に、「令和」になって初めて迎えた昨年のおせち商戦以上の売り上げを見込む。

 大型商業施設「ゆめタウン」を展開するイズミ(広島市)は1日からオンラインストアや店頭での予約受け付けをスタート。オンライン予約はこれまでのところ昨年同期の2倍と出足好調だ。

 「年末年始は旅行や帰省をやめて自宅で、という人が増えるのではないか」と同社。受け取り時の人混みを気にする人向けに宅配可能な商品を昨年より倍増させたほか、コロナ禍による移動の手控えで帰省客を迎え入れない家庭も増えるとみて、1~3人用を増やした。

 県内のホテルも今後の感染状況によっては収益の柱である宴会が減る可能性もあるだけに、おせち商戦に熱い視線を注ぐ。

 熊本市中央区のホテル日航熊本は定番のおせちに加え、少人数用も準備。KKRホテル熊本は、おせちの食材を使った高級弁当を11月から販売する。これまでおせち商戦には参戦していなかったが、担当者は「リモートによる正月の集まりや忘年会、新年会に対応できるように企画した」と話す。(東有咲)