給食費と学校徴収金、振替申込書「なぜ別々?」 熊本市の小中学校

熊本日日新聞 | 2020年10月20日 16:00

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熊本市の小中学校用の給食費(右)と学校徴収金の申込書見本。口座情報や氏名などの記入項目はほぼ同じだ

 熊本市は本年度から小中学校の「給食費」と学級費など「学校徴収金」の徴収を原則、口座振替に切り替えた。保護者はそれぞれに申込書を提出する必要があるが、「ほぼ同じ内容なのに別々に書く意味あるの」との疑問の声も。「なぜ、まとめて1通じゃダメなんですか?」。熊本市教育委員会の担当者に理由を聞いた。

 現金徴収に当たっていた教員の負担軽減を目的に口座振替を導入。保護者が記入する給食費と学校徴収金の二つの申込書を比較すると、様式こそ多少違うが、児童生徒や保護者の名前、口座情報など項目はほぼ同じだ。ただあて先は給食費が市長、学校徴収金が校長と異なる。

 市教委によると、給食費は各学校管理の「私会計」から本年度、市側が徴収や未納者対応を行う「公会計」に移行され、徴収金は市側が管理。一方で、補助教材や学用品など学校の裁量で使途を決定する学校徴収金は「私会計」のままで、市教委の委託業者を介して、各学校の口座に振り込まれる仕組みだ。

 このため、それぞれの口座振替の手数料は公会計の給食費は市負担、学校徴収金は保護者の負担と「公」「私」で異なる。担当者は「公私を一緒に集金することは、行政として慎重にならざるを得ず、保護者の手数料負担の有無を明確にするために書類を分けた」と理解を求める。

 一方で、同じ政令市でも千葉市や福岡市は口座振替を一つの書類で対応している。両市は、学校徴収金を給食費と一緒に引き落とす「一括徴収」で、手数料は市が負担。2018年度から一括徴収を導入した千葉市教委は「保護者の利便性を考えて判断した」という。

 熊本市では口座振替の本年度導入前に、在校生分の手続きは前年度に終了。小学校に来春入学予定の子ども約6800人の保護者には、9月末から順次、申請書類を配布中だ。

 また今年は当初、給食費と同送予定だった学校徴収金の書類に不備が見つかり、約6千人分を別途郵送する混乱も生じた。市教委は「導入初年度でさまざまな課題もある。時間をかけて丁寧に対応していきたい」と話している。(原大祐)