熊大「対応しない」 合同葬の弔意表明要請

熊本日日新聞 | 2020年10月16日 22:00

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文科省や総務省の通知に添付された弔旗掲揚の参考例。1912(大正元)年の閣令に準拠している

 内閣と自民党が17日実施する故中曽根康弘元首相の合同葬に合わせ、文部科学省が全国の国立大などに弔意の表明を求める通知を出したのに対し、熊本大は16日、弔旗を掲揚するなどの対応をしないことを決めた。

 政府は小渕恵三、鈴木善幸、橋本龍太郎の元首相3氏の合同葬でも同様に通知したと説明している。

 ただ、熊本大によると、直近の2006年の合同葬でも対応をした記録が残っていなかった。当時の職員も退職しており、「過去の対応例が確認できない以上、特段の対応はしない」と判断した。

 萩生田光一文科相らは「関係機関が自主的に判断する」として、弔意表明は強制ではないとしている。

 文科省から「参考までにお知らせします」として通知を受け取った県教育委員会は、周知を求めた通知内容に従って県内の市町村教委に送付した。

 一方、熊本市経由で総務省から同様の文書を受け取った市教委は17日当日が授業のない土曜日であることを考慮。弔旗掲揚などを巡って「現場に混乱を来す可能性がある」として、各学校に周知しないことを決めた。

 県教職員組合の上杉謙一郎書記長は「政治と教育は切り離すべきもので、政府や文科省の対応には違和感を覚える」と批判した。(澤本麻里子)