御神刀の修復始まる 人吉市の青井阿蘇神社、熊本豪雨で水没

熊本日日新聞 | 2020年10月14日 11:00

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刀剣研師の木村匠多さん(右)の作業を見守る福川義文宮司(左)=13日、八代市

 7月の熊本豪雨で水没し、さびてしまった国宝・青井阿蘇神社(人吉市)の御神刀の修復が13日、八代市の木村日本美術刀剣赤松太郎鍛錬所で始まった。同神社は、御神刀を含む奉納刀剣77振りを修復するため、クラウドファンディングで費用を調達しており、残りの刀剣も順次作業を進める。

 御神刀は高井越前守源信吉作の太刀で、長さ62センチ、最大幅2・95センチ。江戸時代に人吉藩2代藩主相良頼寛の家臣が奉納したとされる。

 この日は、刀剣研師の木村匠多[しょうた]さん(29)が、御神刀の刀身をアルカリ性の水で洗浄しながら砥石[といし]で表面の赤さびを丁寧に落とし、腐食の進み具合を確認した。今後、研ぎながら形を整える。

 木村さんは「思っていたよりもさびが深い」としながらも、「たくさんの人が御神刀の復活を望んでいる。できる限りの力を尽くしたい」と意気込んだ。

 福川義文宮司(56)も人吉市から駆けつけ、作業を見守った。「被災した当時はどうなることかと思ったが、皆さんの応援のおかげで今日を迎えられた。一日も早く元の輝きを取り戻し、神社に帰ってきてもらいたい」と福川宮司。

 同神社は8~9月、インターネット上で資金を募るクラウドファンディングを実施。全国の約3300人から3500万円を集めた。(隅川俊彦)