資源ごみ持ち去りに規制厳しく 違反者は公表、熊本市改正条例が施行

熊本日日新聞 | 2020年10月1日 16:00

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ごみステーションの前で資源ごみの持ち去りパトロールを行い、住民に条例改正を説明する市職員(右)=熊本市中央区

 熊本市は資源ごみの持ち去りの規制を強化するため条例を改正し、1日施行した。違反者の氏名を公表するほか、買い取り側への規制を盛り込んだ。

 市は2007年、古紙類や缶などの資源ごみを「ごみステーション」から持ち去ることを条例で禁止。違反者には20万円以下の罰金が科せられるが、持ち去り行為は後を絶たず、2019年度は1046件を確認した。本来回収した資源ごみは売却して市の財源になり、持ち去りによる被害額は少なくとも2600万円に上るとみている。

 改正後の条例は、業者が持ち去り資源物を買い取ることを禁止。疑われる場合は立ち入り調査も行う。持ち去った人、買い取り業者とも、違反者は市ホームページで氏名を公表する。政令市の中でも特に厳しい規制という。

 30日は、条例の改正について周知を図ろうと、市職員が市内5カ所で持ち去り防止パトロールを実施。中央区出水の亀継公園のごみステーションでは、新聞紙などを持ってきた住民に改正内容を知らせるチラシを配った。

 近くの平國哲さん(86)は、持ち去りをする車などを頻繁に目撃しており、「条例が心理的な抑止になってほしい」と期待した。

 市は今年6月から公式LINE(ライン)を使った持ち去り通報の実証実験を始め、28日までに190件が寄せられている。市ごみ減量推進課は「直接注意すると逆上されるなど、トラブルにもなりかねない」として、市への通報を呼びかけている。(志賀茉里耶)