黄金の稲穂「扇棚田」弧を描く 産山村で農家が稲刈り

熊本日日新聞 | 2020年9月30日 13:30

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扇形の田に沿ってコンバインを操作し、米を収穫する佐藤高弘さん=産山村

 日本棚田百選の一つで、国の重要文化的景観の構成資産でもある熊本県産山村の扇棚田で29日、稲刈りがあった。黄金色に色づいた稲穂の中で、コンバインが弧を描きながら刈り取った。

 扇棚田は標高約820メートルの山間にあり、大小16枚の水田が階段状に連なる。約250年前に開墾されたとされ、県の名水百選に選ばれる山吹水源から水を引いている。

 所有する8枚(約80㌃)で農薬や化学肥料を使わずコシヒカリを育てる同村産山の乙宮地区の佐藤高弘さん(43)が、両親と上段で作業。収穫した米は県内の企業や、食育に力を入れる保育園などに直接販売する。

 7月の豪雨や台風の被害も少なく生育は良好で、平年並みの3・5トンの収量を見込む。佐藤さんは「伝統を受け継ぐこの棚田で、今年も無事収穫できてよかった」と安堵[あんど]した。(東誉晃)