今どき!?銭湯が開業 熊本市の東バイパス沿い 「地震経験、社会的に必要」

熊本日日新聞 | 2020年9月29日 16:00

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自宅1階に銭湯をつくった黒岩裕樹さん。男女の浴室の仕切りの壁には、江津湖や阿蘇の風景が描かれている=熊本市中央区

 熊本市中央区神水2丁目の国道57号(東バイパス)沿いに、新たな銭湯「神水公衆浴場」がオープンした。構造設計1級建築士の黒岩裕樹さん(40)が、「地域のにぎわいづくりにつなげたい」と自宅を兼ねて新築した。

 市生活衛生課によると、同市内には1976年に銭湯が141軒あったが、今は10軒ほど。同課は「新たに開業するケースは極めてまれ」としている。

 2016年の熊本地震で、黒岩さんが暮らしていた近くのマンションは大規模半壊。被災当時は周辺の温浴施設はどこも満員で、風呂に入るために遠くまで行く不便を痛感したという。

 その後、マンションの解体が決まったため自宅新築を決意。地震の経験を踏まえて「銭湯は社会的にも必要な存在だ」と考え、自宅の風呂を兼ねた銭湯を1階部分に設けた木造2階建ての家を建て、今年8月末開業した。

 中に入ると玄関を兼ねた番台があり、左右に男女の浴室。天井は国産木材を三角形に組み合わせた内部構造を見える形にしたため、木の香りも楽しめる。

 神水地区一帯は、分譲マンションが増加して店舗などが減り、歩く人が少なくなったという。黒岩さんは「少しでも人通りが増えたらうれしい。広い浴槽がある銭湯は、家族の憩いの場にもなるはず」と話している。

 営業時間は午後4~8時。不定休。中学生以上350円、小学生100円。黒岩構造設計事ム所TEL050(1258)1556。(山口尚久)