「細川家の名宝」展、熊本県美本館で開幕

熊本日日新聞 | 2020年9月18日 14:00

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小林古径の「髪」(右)や横山大観の「老子」(左)などが並ぶ「歴史をこえて 細川家の名宝」展=18日午前、熊本市中央区の県立美術館本館(池田祐介)

 細川家の美術工芸品や歴史資料を保管・研究する公益財団法人・永青文庫(東京)の創立70周年を記念する「歴史をこえて 細川家の名宝」展が18日、熊本市中央区の県立美術館本館で開幕した。県内では約10年ぶりの公開となる国宝「金銀錯狩猟文鏡[きんぎんさくしゅりょうもんきょう]」(通称・細川ミラー)など、厳選された貴重な所蔵品を紹介する。

 県立美術館、県教委、熊日、熊本放送の主催。11月8日まで。

 大名家時代から伝わる茶道具や書画の宝物[ほうもつ]と、「美術の殿様」と称された16代当主・護立[もりたつ]が集めた東洋の美術品や近代日本画などで構成。前後期で国宝3点、国重要文化財5点を含む41点が並ぶ。

 茶道具では、千利休と交流があった初代藤孝(幽斎)が削った茶さじや、10代斉茲[なりしげ]が愛用した高麗茶わんなど侘茶[わびちゃ]で重宝された格式高い名品が目を引く。

 護立コレクションの細川ミラー(~10月18日)は、中国で出土した紀元前4~前3世紀の鏡。騎兵と獣が戦う様子などが金銀の象眼で精緻に表現されている。徳川家康らも所持した国宝の短刀や、横山大観や小林古径[こけい]の日本画もある。

 帰省中の会社員桑原隆義さん(70)=大阪市=は「(コレクションとして)私財でこれだけの宝を集めたのはすごい。宮本武蔵の水墨画は圧倒された」と見入っていた。(魚住有佳)