台風への備え、チェックリストで確認 専門家「早めの避難、ちゅうちょせず」

熊本日日新聞 | 2020年9月4日 19:20

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 接近中の台風10号により、熊本県内や九州では記録的な大雨や暴風、高潮が発生する危険がある。早期避難など具体的な行動や心構えについて、地域防災に詳しい「人と防災未来センター」(神戸市)の河田慈人[かわたやすひと]研究員に聞いた。(小多崇)

 まずは洪水や高潮に自宅がどの程度のリスクを抱えているのか、自治体公表のハザードマップで確認を。予想される浸水の深さによって地図が色分けされている。浸水が想定されていない無色であっても油断せず、想定を超える河川の氾濫や暴風、土砂災害に備えて安全な所への避難を心掛けてほしい。

 避難はちゅうちょせず、できるだけ早く明るいうちに。台風が近づくと暴風雨の中、避難はできない。車が横転する可能性もある。新型コロナウイルス感染予防の観点で、建物の上階に逃げる「垂直避難」が注目されているが、これはやむを得ず緊急性が高い場合の避難方法。そうなる前に危険なエリアから離れる「水平避難」が大原則だ。コロナも心配だが、早めの水平避難を選択してほしい。

 家族や親戚、友人らの家も含め、避難先は体育館など指定避難所に限らない。避難に尻込みする高齢者らには「うちに来て」と声を掛けて。自治体の避難指示や勧告を待つ必要はない。台風の接近・上陸は間違いない。結果として大きな被害が出ず、避難が「はずれ」でも構わない。良い「素振り」ができたと思ってほしい。

 事前準備としては、排水を詰まらせないよう側溝や排水溝の掃除を。増水でトイレが逆流することもあるが、水を入れたポリ袋を「水のう」として便器に沈めておくと防げる。風で飛ばされそうな物は家の中に片付けるか固定を。停電、断水の可能性も高い。風呂に水をため、スマートフォンなどに充電しておくことも大切だ。

 暑い時季なので水分の補給も忘れずに。避難の際は本を持っていくことも勧めたい。子ども連れなら絵本やゲームも。家族が時間を過ごすために必要なものを準備しておくと、災害時の避難であっても「日常」を感じられる。(談)