チッソ5年連続赤字 20年9月中間連結決算 主力液晶で減収

熊本日日新聞 | 2020年11月13日 09:26

 水俣病の原因企業チッソ(東京)は12日、事業会社JNCなど子会社42社を含む2020年9月中間連結決算を発表した。純損益は12億2700万円の赤字(前年同期は69億2300円の赤字)で、中間期での赤字は5年連続。

 売上高は前年同期比15・7%減の618億2600万円、経常利益は12億4500万円で2年ぶりに黒字に転じた。主力の液晶材料事業で中国メーカーとの価格競争が続き、売上高が減少。新型コロナウイルスの拡大を受けてマスク生産に参入し、繊維事業は増収となったが液晶の減収を埋めきれなかった。

 この日公表した21年3月期通期の連結業績予想は、「下期はコロナ関連の需要が落ち着く」として売上高を前期比8・9%減の1320億円、経常利益を1億円とした。

 一方、JNC単体での経常利益の通期予想は、11年に同社が発足して最低となる12億円を見込んだ。水俣病の患者補償に必要な年間17億~18億円を大幅に下回るが、溝部仰起取締役は記者会見で「子会社からの配当や手持ち資金などを集めて原資は必ず確保する。患者補償が滞る懸念はない」と強調した。

 環境省が5月、同社に策定を要請した業績改善計画については「年内の提出に向けて策定中」とした。(並松昭光)