ハンセン病元患者家族補償法 認定までに時間 続き柄証明に数カ月も

熊本日日新聞 | 2020年11月13日 09:31

 ハンセン病元患者の家族に対する補償を巡っては、支給対象と認定されるまでに時間がかかることも課題になっている。差別を背景に元患者との続き柄を証明することが難しいケースでは、さらに遅くなるという。

 厚生労働省難病対策課によると、10月までに支給対象となった家族が補償金の申請から認定までにかかった時間は1~10カ月。同課は「審査による決定は月1回のため、時間がかかる」と説明する。

 県ハンセン病問題相談・支援センター「りんどう」が関わった3人が要した時間は5~6カ月。相談員の紫藤千子[しとうゆきこ]さん(58)は「審査が長引いたため、情報が周囲に漏れるのではないかと不安に陥り、申請を後悔する家族もいる」と話す。

 続き柄の証明が困難なのは、同居していたのに住民票に記載がなかったり、実の親子が戸籍上は他人となっていたケースなど。公文書に代わる資料の提出を求めて有識者の審査会に諮るため、さらに数カ月が必要となる。

 住民票などに記載がないケースについて、元患者家族を支援する徳田靖之弁護士は「家族が差別を恐れたため、住民票や戸籍に元患者を入れることができなかった。それしか理由はない」と指摘している。

 りんどうは「誰が元患者家族か分からず、こちらから手を差し伸べることはできない。悩んでいる人がいたら、こちらにつないでほしい」と呼び掛けている。TEL096(365)7606。(木村恭士)