「正しい知識と精神を」 ハンセン病家族訴訟、原告が講演 熊本県苓北町

熊本日日新聞 | 2020年11月4日 09:38

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自身や家族が受けた差別体験について語る原告女性(右から2人目)=苓北町

 国によるハンセン病患者の隔離政策で、差別や偏見の被害を受けた元患者家族らが起こした家族訴訟の原告による講演が3日、熊本県苓北町のふれあいスペース如水館であった。父親が元患者の50代女性=福岡市=が、体験した苦悩を語った。

 同館で開催している、国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(合志市)の絵画クラブ「金陽会」作品展の関連事業で、同展実行委の主催。

 女性は、子ども時代に学校や近隣住民から嫌がらせを受けたことや、その中でも毅然[きぜん]と生きた母親の姿を振り返り、「正しい知識と精神を持ち合わせた人間を形成する教育が大切だ」と訴えた。

 また、「国の誤った政策で人生を奪われた人たちの悲しい物語を伝えていくことが、被害家族である私の使命」とした上で、「声を上げられずに差別や偏見に苦しみながら生きている人がいることを忘れないでほしい」と涙をこらえながら呼び掛けた。

 同展は8日まで(5日休館)。午前10時~午後5時。最終日は午後4時まで。入場無料。(米本充宏)