コメ二期作で食料難に備え 山鹿市の農家「増産技術を後世に」

熊本日日新聞 | 2021年08月06日 13:22

7月下旬にコシヒカリを収穫した梅田睦人さん。栽培期間を通常より約2カ月半前倒しした=山鹿市
7月下旬にコシヒカリを収穫した梅田睦人さん。栽培期間を通常より約2カ月半前倒しした=山鹿市

 山鹿市平山の農業、梅田睦人さん(86)が沖縄県以外では珍しいコメの二期作に挑戦している。一期目のコシヒカリは地域標準より約2カ月半早く、7月28~31日に収穫。近く、二期目の田植えに取り掛かる予定だ。

 生産過剰により国産の主食用米の転作などが進む中、「将来の世界的な食料難に備えて、非常時に増産を図る技術を残しておきたい」と危機感を抱いた梅田さん。5年ほど前から二期作を試し、今年初めて25アールで本格的に取り組んでいる。

 梅田さんは、一期目の田植えを3月下旬に前倒しするため、岡山県の農業法人が熱帯作物のバナナの国産化に用いている技術に着目。種苗を極低温で凍結させ、解凍することで耐寒性などを強化する方法を応用した。

 収穫直前の7月28日。平山地区にある梅田さんの田の一角だけ黄金色に輝いていた。梅田さんは「戦後の食料難をイモのツルでしのいだ身としては、日本の食料自給率の低さが怖い。年齢的に今年が最後の挑戦。一期目に続き、二期目も成功して記録を後世に残したい」と話した。(猿渡将樹)

※2021年08月02日付 熊本日日新聞朝刊に掲載