相次ぐ高齢者事故 生活の足確保も求めたい

4月24日 09:29

 多数の人が巻き添えとなる交通死亡事故が後を絶たない。

 東京・池袋で19日、暴走した乗用車が通行人をはね、母子2人が死亡、8人が重軽傷を負った。神戸市では21日、市営バスが横断歩道に突っ込み8人が死傷。熊本市でも22日、トラックとオートバイ、幼稚園バスなど計5台が絡む事故があり、9人が救急搬送され、うち2人が死亡した。

 交通事故の発生件数と死者数は近年、全国的に減少傾向にあるが、高齢ドライバーによる死亡事故が目立つようになった。

 池袋の事故は87歳の男性が運転。車側の信号は赤だったとみられるが、ブレーキを踏まずにアクセルを踏み続け、制限速度の時速50キロを大幅に超える猛スピードで暴走、交差点に突っ込んだ可能性がある。神戸市の事故のバス運転手(64)は、ブレーキと誤ってアクセルを踏みこんだとみられる。

 警察庁のまとめでは、昨年1年間に全国で起きた交通死亡事故3099件のうち、75歳以上のドライバーが過失の最も重い「第1当事者」となったのは460件で前年より42件増加。全体の14・8%を占め、割合としては過去最高だった。原因別では、ハンドルやアクセル、ブレーキ操作などを誤るケースが136件と目立った。

 第1当事者となった460人が事故前に受けた認知機能検査では、204人が認知症の恐れがある「第1分類」、もしくは、認知機能低下の恐れがある「第2分類」と判定されていた。

 2017年施行の改正道路交通法は、免許更新時などの認知機能検査で第1分類と判定された際は医師の診察を義務化。認知症と診断された場合には免許の取り消しや停止の処分を受ける。

 昨年3月までの1年間に210万5477人が検査を受け、5万7099人が第1分類と診断された。うち免許証を自主返納した人を除き、医師の診断を受けたのは1万6470人。診断後に免許取り消しや停止の処分となったのは1892人で、16年に比べ約3倍に増えた。

 警察庁によると、75歳以上の運転免許保有者は昨年末時点で約563万人。団塊世代がこの年代となる22年には663万人に達すると推計され、高齢運転者の事故対策は喫緊の課題だ。

 警察庁は、運転可能な車種や地域、時間帯を絞った「限定条件付き免許」の導入を検討。自動ブレーキや衝突防止機能が付いた車種の開発、普及も格段に進んでいる。自動運転の実用化も待たれるところだ。これらの対策を総動員して高齢者事故の防止に全力を挙げてもらいたい。

 過疎地域では、公共交通機関の縮小・廃止などで高齢であっても車が欠かせない人が多い。少子高齢化の影響で高齢者の雇用機会が拡大する中、今後さらに仕事や生活の「足」として車を必要とする人が増えることが予想される。

 高齢者が自家用車に頼らず生活できるような地域づくり、支援策も求められる。