日米貿易交渉 公平公正の原則貫きたい

4月19日 09:22

 日米の新たな貿易交渉は、土台となる対象範囲を確定できずに初協議を終えた。

 新たな交渉を「物品貿易協定(TAG)」と呼び、農産物や工業製品などの関税分野に絞って協議を進めたい日本に対し、米国には投資ルールなどを含めた包括的な自由貿易協定(FTA)を要求するべきだとの意見が根強い。

 米国は、今後も自動車輸出の数量規制や、通貨安誘導を禁じる「為替条項」などの厳しい要求を突きつけてくるものとみられ、日本にとって難しい交渉が続くことになろう。

 交渉が軌道に乗らなければ、2国間の貿易や経済活動は不安定な状態が続くことになるが、協定に自動車輸出の数量規制などが盛り込まれれば、日本は産業構造の変容を強いられる恐れもある。

 環太平洋連携協定(TPP)を主導することで得た「自由貿易の旗手」という看板と、TPP参加国からの信頼も失いかねない。日本としては、そうした事態を招かないよう、TPPという交渉カードを駆使し、自由かつ公平・公正という貿易の原則を貫くべきだ。

 交渉相手は「米国第一主義」を掲げ、中国を相手に報復関税合戦を仕掛けているトランプ大統領である。安倍晋三首相との個人的関係は良好とされているが、2020年の大統領選を控え、対日貿易赤字削減の目標は譲れないはずだ。北朝鮮との非核化交渉や、中国との貿易交渉が難航する中、目に見える外交成果を速やかに得たいとの思惑もあろう。

 ただ、初協議では米国側の焦りも透けた。農産物関税の引き下げについて、TPPの水準を限度とすることで合意したのは、交渉を長期化させるよりは、大統領選へ向け、輸出拡大の成果を一刻も早く有権者にアピールした方が得策と判断したためとみられる。

 TPPや欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の発効によって、TPP参加国やEUは、牛肉などの関税が下がり対日輸出が増えている。その結果、米国産品の日本市場でのシェアが落ち始めている。

 日米両国は、26日に予定されている首脳会談でも貿易問題を取り上げる。首脳会談の前には、日本側代表の茂木敏充経済再生担当相と米側代表であるライトハイザー米通商代表が再び協議するという。日本は米国の焦りを追い風にして、なし崩し的に包括的な交渉へと向かわないよう、慎重に協議を重ねてもらいたい。

 日本は、議長を務める6月の20カ国・地域(G20)首脳会合で、経常収支の不均衡是正を主要議題にする方針だ。貿易に金融などのサービスも加えた経常収支を軸に、貿易赤字の問題を捉え直そうという試みである。

 米国の経常赤字は貯蓄率の低さと過剰な消費に原因があり、貿易相手国からの輸入を抑えても赤字削減の効果はほとんど望めない。日本はG20参加各国と連携し、そうした米国の体質改善の必要性を粘り強く説き続けるべきだ。