民間の障害者雇用 多様な働き方を広げたい

4月17日 09:22

 2018年の県内企業の障害者雇用率(6月1日時点)は、前年より0・01ポイント上昇し2・25%だったと、熊本労働局が今月発表した。全国平均の2・05%より高く、18年4月の法改正で0・2ポイント引き上げられた民間の法定雇用率2・2%も上回った。
 障害者の雇用促進は、働きやすい職場づくりや多様な働き方を進めていく上でも不可欠だ。企業側の引き続いての努力とともに社会の理解も広げたい。
 熊本労働局によると、県内企業の障害者雇用率は少なくともここ10年、常に全国平均を0・2~0・3ポイントほど上回っている。雇用率と同時に発表された18年の雇用障害者数も、前年より3・7%増の4299・5人(短時間労働者は0・5人換算)で過去最高を記録した。
 熊本労働局は「熊本は障害者雇用への理解が高く、受け入れる企業風土があるようだ」と分析する。加えて、県内は中小企業が多いため少人数の雇用で率が上がることや、人手不足と言われる医療・福祉、製造業などで雇用者が増えたことなども要因だろう。
 ただ課題もある。法定雇用率を達成した県内企業の割合は対象1292社のうち、55・0%(711社)と前年より3・9ポイント低下した。法改正で前年より小規模な企業にも雇用が義務化され、対象企業が増えたことが影響しているが、未達成の企業をみると、障害者を1人も雇用していない企業が6割に上る。
 今国会に提出された障害者雇用促進法改正案では、これまで対象となっていなかった短時間労働者にも企業給付金の枠を広げ、雇用に積極的で優良な中小企業の認定制度も創設する。こうした支援策の活用などによって今後、法定雇用率を達成する企業が増えていくことを期待したい。
 中央省庁や地方自治体などでの雇用率水増しが問題となったことで、一層注目されるようになった障害者雇用だが、就労時のマッチングや職場定着を図るには、さまざまな支援が欠かせないし、設備投資も必要となる場合がある。「雇いたくても二の足を踏んでしまう」という企業も少なくない。
 しかし、障害者が働きやすい職場づくりは、健常者にとってもプラスとなるものだ。積極的に障害者を雇用している合志市の運輸・物流会社「共同」は、障害者の作業ぶりを参考に、同社の物流センターの動線を変えたり、音声で指示が出るシステムを導入したりしている。現場の責任者は、「障害者と一緒に働くことによって(こうした工夫の必要性に)気づかされることが多く、健常者も働きやすくなる」と話す。
 少子高齢化の進行などで日本の労働現場は人手不足に陥っている。こうした状況に対応するためにも、さまざまな特性のある人たちが無理なく働ける職場環境づくりが求められている。障害者雇用を単なる義務でなく多様で柔軟な働き方を広げるものとして、社会全体で積極的に捉えていきたい。