安保法施行3年 運用実態の十分な公開を

3月26日 09:38

 自衛隊の任務を大幅に拡大した安全保障関連法の施行から29日で3年になる。政府は自衛隊による米軍支援を積み重ねているが、その運用実態はほとんど明らかにされないまま、装備面での「打撃力」の強化も図っている。

 専守防衛のレベルを超えて防衛力を高めていけば憲法との整合性を問われかねず、情報が十分に国民に知らされないのであれば、「シビリアンコントロール」(文民統制)の面でも見過ごせない。

 安倍政権は2014年7月の閣議決定で集団的自衛権を巡る憲法解釈を変更。安保関連法を成立させ一定の条件下で集団的自衛権の行使ができるようにし、他国軍への自衛隊の後方支援も拡大した。

 防衛省によると、16年3月の安保法施行後、他国軍を支援した「武器等防護」は17年に2件実施され、18年は16件に増えた。すべて米軍に対する支援で中国をけん制する狙いがあるとみられている。

 中国は東・南シナ海で軍事活動を活発化させており、防衛省幹部は「尖閣諸島への中国侵攻を考えると、日米一体化が進んでいることが抑止力になる」とする。

 武器等防護は、平時や武力行使の起きていないいわゆる「グレーゾーン」の事態でも他国軍の弾薬や艦船を守る任務だ。政府は実施に当たり「可能な限り最大限の情報公開をする」と説明してきた。

 にもかかわらず、防衛省は、内容が「米軍の運用に直結する」との理由で実施時期や詳細を明らかにしていない。発表では16件の内訳として(1)弾道ミサイルの警戒監視などに当たった米艦艇3件(2)日本防衛のために共同訓練に参加した米艦艇3件(3)航空機10件、などと説明しただけだ。これでは到底情報が公開されたとは言えまい。

 安保法で可能になった新任務「国際連携平和安全活動」も近く初適用される。政府は4月から自衛隊員2人をエジプト・シナイ半島に派遣することにしている。

 安保法の運用とともに、防衛力整備の動向も見逃せない。政府は昨年12月、安保法施行後初めての「防衛計画の大綱」と、「中期防衛力整備計画」(19~23年度)を閣議決定した。

 それによると海上自衛隊の護衛艦「いずも」を改修し、最新鋭戦闘機を搭載することを想定する。従来の政府見解では「攻撃型空母」は保有できないとされており、政府は攻撃型空母には当たらないとしているが、「事実上の空母化だ」と懸念する声は強い。

 また、計画では、南西諸島防衛のためとして3種類の長距離巡航ミサイルの導入も進める。射程は最長900キロ程度で敵の射程圏外から攻撃できる。日本海から北朝鮮内陸部まで届く性能を持っており、野党は「専守防衛を逸脱する」と批判している。

 安保法は世論を二分したまま、与党が採決を強行して成立させた経緯がある。十分な情報公開がなければ国民は運用をチェックできない。憲法に基づく専守防衛を形骸化させないよう、慎重な運用と十分な情報公開を求めたい。