福祉避難所 まず情報や役割の共有を

3月14日 09:18

 平成は「災害の時代」だった。巨大地震や豪雨など自然の脅威が私たちの生活を揺るがした。同時に地域社会は高齢化が進み、災害弱者への適切な支援の必要性は一層高まっている。

 大きな役割を担う一つが福祉避難所だ。阪神・淡路大震災で関連死が相次いだことを教訓に、災害救助法に基づく指針で規定。受け入れ対象の要配慮者として高齢者や障害者、乳幼児らを位置づけている。ただ、その後の災害で広く活用されたとは言い難く、要配慮者への支援の充実を図りたい。

 福祉避難所に関する共同通信社の調査によると、受け入れ可能人数と利用の可能性がある対象者数の両方を集計している15府県で、対象者約134万人に対し、把握できている受け入れ可能人数が18%の約24万人にとどまることが分かった。

 施設の不足や、受け入れ可能人数が分からないといったケースがあり、災害弱者への備えの不十分さが浮き彫りになった。また、熊本県のように対象者数を集計していない自治体については、「必要数を正確に把握できていない点で問題」との指摘もある。

 さらに、政令指定都市と県庁所在市計51市に対する調査では、福祉避難所の開設をホームページなどで広く公表すると決めているのが、熊本市を含む2割弱にとどまることも明らかになった。

 内閣府のガイドラインは、地域住民や支援団体にも開設を速やかに周知するよう求めているが、未定が6割近く。非公表とした2割超の市は「対象外の一般の避難者が殺到しかねない」「支援を必要とする人が、一般避難所から移る二次的避難所という位置付け」といった理由を挙げた。しかし、行政と住民が災害時に有効な情報を共有することは、安心できる避難の第一歩ではないか。

 確かに3年前の熊本地震では、近隣住民が詰め掛け、福祉避難所が苦慮した例は少なくなかった。しかし、だからこそ一般避難所との違いについても周知を図るべきだろう。熊本市が「当時は情報を開示しておらず混乱が起きた。場所だけでなく、福祉避難所の役割を伝えることが重要だ」との考えを示している点に注目したい。

 また、非公表の市が挙げた「二次的避難所」としての機能は、一般避難所からの移送が前提だ。そのためには一般避難所がまず、障害の有無などにかかわらず、避難者を幅広く受け入れ、「窓口」としての役割を果たす必要がある。

 ところが熊本地震の一般避難所では、バリアフリー化されていなかったり、運営の配慮を欠いたりした結果、車中泊や自宅にとどまるなどした高齢者や障害者も多かった。幅広く配慮できる一般避難所の機能底上げも欠かせない。

 熊本地震の事例が示すように、情報を閉ざしたまま自治体が避難所をコントロールするのは難しい。いざという時に備えるには福祉避難所の情報や役割を日ごろから共有し、要配慮者の暮らしにも関心を向けることが欠かせまい。