中国全人代 公正な経済体制の構築を

3月8日 09:11

 中国の第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議が5日開幕し、李克強首相は政府活動報告で、2019年の実質国内総生産(GDP)の成長率目標を「6・0~6・5%」として2年ぶりに引き下げた。

 中国は4年前に、高成長期から中成長期への移行を宣言したが、18年の成長率の実績は6・6%。「6・5%前後」としていた目標を上回ったものの、米国との貿易摩擦などが響いて28年ぶりの低水準となった。19年はさらに成長が鈍化する見通しだ。

 中国政府は成長減速や米中貿易摩擦などの内憂外患に直面し、微妙なかじ取りを余儀なくされている。李首相は成長維持のため景気を刺激しながら構造改革を進める方針を提起し、米国との貿易協議の早期妥結に意欲を示した。

 中国経済の失速は世界経済の一層のリスクとなる。中国は李首相の公約通り構造改革に本腰を入れるとともに、知的財産権保護や市場開放に努め、世界第2位の経済大国にふさわしい公正な経済体制を構築すべきだ。

 トランプ米政権は昨年、知的財産権侵害を理由に中国からの輸入品への追加課税を順次発動し、中国も報復関税を課して対立が激化。貿易協議で、米国は(1)貿易不均衡の是正(2)知的財産権の保護(3)技術移転強要の禁止(4)市場開放-などの構造改革を求めてきた。その後、今月2日に予定していた中国製品への追加関税率引き上げを期限を定めずに延期すると発表し、貿易摩擦の一段の激化はひとまず回避された。

 李首相は報告の中で「知的財産権保護の全面的強化」「全方位の対外開放の推進」を改めて確約した。全人代では、米国の要求に配慮し、外国企業の技術の強制移転を禁じる外商投資法が成立する見通し。ただし、構造改革を巡っては溝が残っており、両国は3月中に予定する首脳会談での決着へ詰めの作業を進めるが、合意できるかは依然不透明だ。

 一方、19年予算案によると、国防費は前年比7・5%増の約1兆1898億元(約19兆8千億円)となり、日本の国家予算の5分の1、防衛費の4倍近くに達した。国防費には研究開発費や武器輸出の収益などが計上されていないため、実際には公表値の2~3倍との分析もある。民間企業を参入させる「軍民融合」によっても次世代戦略兵器を中心に開発を加速させており、「不透明な国防費の線引きが一層、あいまいになっている」ともいわれる。

 国防費の急速な増大は、覇権というシグナルを国際社会に示していると見られても仕方あるまい。近隣国をはじめとする国際社会の懸念が一層強まることが予想される。

 現在に至るまでの中国の著しい経済成長は、国内経済の改革開放路線と、米国との国交樹立などによる国際社会との協調がもたらした。中国政府は、平和主義に徹するとの決意を改めて明確にすべきだ。