児童虐待防止 現場の体制強化が急務だ

2月23日 09:11

 千葉県野田市の小4女児が虐待を受けて亡くなった事件を巡り、政府、与党は親による体罰の禁止を児童福祉法と児童虐待防止法の改正案に明記する方向で検討に入った。

 民法は親権者に対し、監護や教育に必要な範囲内で子どもを懲らしめる「懲戒権」を認めている。また学校教育法も、校長や教員が教育上必要があると認めるときは懲戒を加えることができると定めた上で「ただし、体罰を加えることはできない」としている。

 与党内には懲戒権の規定そのものを削除すべきだとの意見もあるが、民法改正には時間がかかるため、関係法の見直しを先行させることになった。

 行政と政治が一体となって虐待根絶の姿勢を示す意味で法改正の意義は大きい。とはいえ、それがどれほどの効果を生むかは見通せない。新たなルールを空文化させないためにも、子どもを救う現場の体制を速やかに立て直し、きめ細かな対応を実現するべきだ。

 千葉の事件で、女児に冷水シャワーを掛けたなどとして傷害容疑で逮捕された父親は、「しつけのつもりだった」と供述した。東京都目黒区で昨年3月に起きた5歳女児虐待死など、過去の事件で逮捕された保護者の多くも同じ言葉を口にしている。

 「しつけ」と称した体罰が虐待につながった事例は少なくない。今回の法改正も、そうした懸念に基づく動きだ。ただ、閉ざされた家庭の中で行われるしつけと体罰に、明確な線を引くのは至難の業だ。民法改正を巡る過去の議論でも、「『必要なしつけすらできなくなる』と誤解される」との慎重意見があった。

 海外には親の体罰を法律で禁止している国が54カ国あり、そうした国々では体罰を容認する人の割合が大きく減ったとの報告もある。体罰禁止の法制化が虐待防止につながるとの期待は大きい。

 しかし、児童相談所の現状はパンク寸前だ。千葉の事件を巡る対応でも、虐待に関する知識や経験の不足から不手際を重ねた。

 女児が学校アンケートで父親の暴力を訴え、一時保護した。ところが、父親から「お父さんにたたかれたというのはうそ」との書面を見せられ、書かされた可能性を疑いつつも自宅に戻す決定をした。児相職員は学校で面談した女児から「書かされた」と明かされても特段の措置は取らず、安全かどうか確認する家庭訪問もしなかった。

 こうした現状を踏まえ、法改正では全児相への弁護士の配置を都道府県に義務付けるほか、虐待を受けた児童の面談や保護者の指導をする「児童福祉司」の任用条件も見直す。児童の心のケアを担当する「児童心理司」の配置基準も定めるという。

 適材適所の配置に加え、研修の充実による質の向上にも取り組む必要があろう。学校や警察など関係機関との連携も強め、子どもたちを救うために総力を挙げてもらいたい。