日産・ルノー提携 明確な経営理念が必要だ

2月22日 09:37

 日産自動車は、2019年3月期の連結純利益予想を従来の5千億円から4100億円に下方修正した。主力の米国市場が振るわず、堅調だった中国も米中貿易摩擦の余波で失速する恐れがある。安定成長の維持には、前会長カルロス・ゴーン被告の事件後、ぎくしゃくするフランス自動車大手ルノーとの企業連合を立て直すことが急務となっている。

 新たな企業連合体の要として当面、焦点になるのは日産会長の人事や出資比率の変更だ。先週、日本を訪問したルノーのジャンドミニク・スナール会長は、日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)や同グループの三菱自動車の益子修会長兼CEOと初めて3者での直接会談を開いた。

 6月の定時株主総会に合わせて決まる日産会長の人事には踏み込まなかったが、提携の維持・強化という大枠では意見が一致したようだ。ゴーン被告を擁護する立場を示していたルノーも決別姿勢を鮮明にしていて、日産との関係を再構築したいという新経営陣の意図がうかがえる。スナール氏が1月の就任から日を置かずに来日したのも、対話重視の姿勢を明確にする狙いがある。

 協議を進める雰囲気が醸成されたことは前進としても、信頼関係を盤石にしなければ具体的な協業体制の組み直しなどはできまい。ルノー側はスナール氏の日産会長就任を求めているが、日産は何としても阻止したい考えだ。

 ルノーの筆頭株主であるフランス政府は、これまでルノーと日産の経営統合を繰り返し求めたとされ、両社を傘下に置く持ち株会社を設立する構想も浮上している。これから本格化する会長人事の綱引きが、連合の今後を占う試金石となる。

 自動車業界は電気自動車(EV)や自動運転の大波が打ち寄せ、IT企業など他業種を巻き込んだ世界的な再編が進んでいる。ゴーン被告の退場で企業連合の主導権争いは激しくなっているが、短期的な損得勘定に固執した対立をいたずらに続ける余裕がないことは言うまでもないだろう。

 まずは中長期的な観点から3社連合の在り方を展望することが必要だ。漫然と生産規模拡大にまい進する時代は既に終わっている。地球温暖化防止のための排ガス規制強化や所有から共有への流れなど、自動車を巡る社会的な環境は一変した。どんなサービスを提供するのか、世界規模で展開する自動車メーカーの社会的な責任とは何なのか、明確な経営理念を固めたい。

 ゴーン被告に決定権が集中しすぎたことが不正の温床になったことを考えると、社外取締役を活用して役員人事や報酬などを決める権限を分散させる仕組みも必要だろう。西川氏とスナール氏は、トップに権力が集中しすぎないよう統治手法の改善が必要だとの認識で一致したという。日産が設置した外部の弁護士らでつくる「ガバナンス(統治)改善特別委員会」での議論に注目したい。