豚コレラ感染拡大 封じ込めへ防疫対策徹底を

2月20日 09:36

 家畜伝染病である豚コレラの感染が止まらない。岐阜市の養豚場で昨年9月、国内で26年ぶりに感染が判明。今月に入り愛知、滋賀、長野、大阪で感染が確認され5府県に拡大した。19日に岐阜県瑞浪市でまた確認された。

 豚コレラは豚とイノシシ特有の伝染病だ。下痢や食欲不振、歩行困難などの症状が現れ、致死性が高い。人にうつらず、感染した豚の肉を食べても問題ないが、感染が広がれば国内の養豚業に多大な影響を与えかねない。殺処分を含め、早期の「封じ込め」に全力を挙げる必要がある。

 国内での豚コレラ発生は、1992年に熊本県の錦町で5頭への感染が確認され、32頭が処分されて以来のことだ。県によると、県内では養豚農家180戸が約31万頭を飼育している。身近で発生した歴史を振り返れば、他県の出来事として傍観はできない。

 県は「いつ発生してもおかしくない」として畜産関係者を集めて緊急会議を開催。感染が疑われる豚がいたら、速やかに県に届けるよう求めるなど防疫対策の徹底を呼び掛けている。監視の目を緩めることなく、発生予防に当たってもらいたい。

 豚コレラを巡っては、日本の研究者の発見を基に優れたワクチンが開発され、69年から接種が始まった。日本での発生は激減し2006年には接種が完全に中止され、翌年、国際獣疫事務局(OIE)から豚コレラの「清浄国」として認められた。

 清浄国になると非清浄国からの豚肉輸入を制限したり、他の清浄国に輸出できたりと経済的メリットが大きい。しかし昨年9月の発生を受け、日本は清浄国の資格を一時的に停止されている。

 感染予防にはワクチンが有効だが、農林水産省は衛生管理と水際対策の強化で封じ込めを目指す。ワクチンを使わなければ最後の発生から3カ月で清浄国に復帰できるが、使えばOIE規約により復帰に時間がかかるからだ。

 病原体の豚コレラウイルスは近年、中国やモンゴルで分離されたものと遺伝子が似ているという。アジアの他の国や地域で発生が続く中、日本では農場の衛生管理や輸入検疫によって、ウイルスの侵入を防いできた。

 だが国境を越える人の動きが活発になれば、ウイルスなどの病原体が入り込む可能性が高まる。中国やモンゴルではアフリカ豚コレラという別の家畜伝染病も広がっている。今回の発生をもたらしたウイルスは、旅行客の手荷物や国際小包によって入り込んだ可能性が指摘されている。発生の原因を探り、防疫対策の強化を図る必要がある。

 岐阜県と愛知県で野生イノシシが豚コレラにかかったことを受け、吉川貴盛農相はイノシシに対するワクチン入りの餌の投与を早期に実施する意向を示した。野生イノシシが豚に接触できる状況にあるなど養豚農場の管理の甘さも指摘されている。衛生管理の徹底も忘れないでもらいたい。