米朝首脳再会談 非核化への道筋を明確に

1月21日 09:22

 米国と北朝鮮が2月下旬に2回目の首脳会談をすることで合意した。開催地や日程の詰めはこれからだが、「政治ショー」と批判された前回会談の二の舞いを演じれば、朝鮮半島の情勢は再び緊迫しかねない。再会談では、完全非核化への道筋を明確に示してもらいたい。

 トランプ大統領と金正恩[キムジョンウン]朝鮮労働党委員長は昨年6月、シンガポールで史上初の米朝首脳会談を実現し、朝鮮半島の完全非核化や新たな米朝関係の構築で合意した。しかし、その後の米朝交渉はほとんど進まず、北朝鮮は新たな非核化措置を取らずにいる。

開催はなお流動的

 米朝が首脳再会談で合意した意味は大きいが、すんなりと開催されるかはなお流動的だ。開催地はベトナムが有力視されているが、北朝鮮の非核化の進め方や米側の見返り措置を巡る隔たりが十分に埋まらず、具体的日程や場所の最終決定を見送った可能性もある。

 米側は今後、実務レベルの協議を重ね、具体的な手順や検証体制など非核化に向けた措置の詳細を詰める考えだ。ただ、トランプ氏が「完全に検証された非核化を見るまで、北朝鮮に対する圧力と制裁を維持する」との姿勢を崩していない中で、北朝鮮がどこまで積極的に協議に応じるのか、懸念は尽きない。

 米朝には、国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表と崔善姫[チェソンヒ]外務次官による実務協議の枠組みがある。昨年8月にビーガン氏が就任して以来、米側は実務協議の早期開催を求めていた。しかし、非核化に向けた詳細の積み上げを嫌う北朝鮮はこれを拒否してきた。駆け引きの舞台を首脳会談に絞ることで、米側の譲歩を一気に引き出す狙いだろう。再会談を成功に導くには、残り約1カ月間の実務協議でどこまで詳細を詰めることができるかが鍵となる。

金委員長も正念場

 金委員長にとっては、昨年から韓国や中国との首脳会談の際に繰り返し表明してきた非核化の立場が信頼できるのかが問われる再会談ともなる。

 金委員長は年頭の演説「新年の辞」で、「これ以上、核兵器をつくらない」と明言した。これを証明するには、少なくとも寧辺[ニョンビョン]に集中している核関連施設の活動凍結や封鎖、さらには国際原子力機関(IAEA)による査察の受け入れなどが必要となろう。

 非核化に向け具体的な措置に踏み込んでこそ、北朝鮮が求める国連安全保障理事会や日米韓による制裁の緩和、解除が議論されることになる。

 米朝首脳の再会談は、不信と対立という悪循環から長い間抜け出せなかった韓国と北朝鮮が、平和共存に向かう流れを後押しするきっかけにもなり得る。金委員長のソウル訪問も、米朝首脳の再会談後に遠からず実現することになろう。

 日本も、朝鮮半島に残る冷戦構造の転換という歴史的なうねりに合わせて、韓国との関係改善と北朝鮮との国交正常化に取り組み、北東アジアでの存在感を維持する必要がある。

日米韓協調に変化

 韓国国防省はこのほど発表した国防白書で、北朝鮮を「敵」としてきた従来の表記を削除した。一方で、元徴用工訴訟や海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題では、日本への強硬姿勢が際立つ。

 北朝鮮の軍事的脅威への対応を主目的としてきた日米韓の協調体制にも変化の兆しがうかがえる。日本としては、北朝鮮との「新しい関係」を模索する米国との連携を密にする必要があろう。韓国が描く南北共存の道筋と、米国が想定する米朝関係改善の構図はどのような流れで重なり合うのか。冷静に見極め、対応を急ぎたい。