日本食品禁輸  風評被害払拭へ発信強化を

11月28日 09:16

 東京電力福島第1原発事故を受け、台湾が続けている福島や千葉など5県の日本産食品に対する輸入規制の撤廃が当面難しくなった。24日の統一地方選に合わせて規制継続の是非を問う住民投票が行われ、「継続賛成」が多数となり成立したことにより、原則2年間は投票結果と異なる政策を実施できなくなるためだ。

 住民投票は、最大野党の国民党が輸入規制緩和に反対して提起した。結果は規制継続に賛成が779万1856票、反対223万1425票。投票成立に必要な有権者数の4分の1も超えた。

 台湾は2011年3月の原発事故後、5県からの食品の輸入を全面的に停止。これに対して日本政府は「科学的根拠がない」と規制の撤廃を強く求めている。今年8月には台湾との友好発展を目指す超党派の議員連盟が台湾を訪れて蔡英文総統と会談。「(日台間の)のどに刺さったトゲ」と指摘し、早期撤廃に向けてリーダーシップを発揮するよう要請した。

 台湾ではここ数年、日本産食品の輸入規制を巡る対応が政治問題化している。住民投票でも国民党は、日本が放射性物質の検査を実施していることを説明せずに規制継続賛成を呼び掛けたという。統一地方選で与党の民主進歩党(民進党)が大敗するなど、蔡総統の支持率低迷も住民投票に影響したとみられている。

 こうしたことから、有権者は日本産食品の安全性を理解しないまま賛成した可能性が高いが、一方で台湾の人々が日本産食品に抱く不安を依然として払拭[ふっしょく]できていない現状を示したとも言える。日本の対台湾窓口機関である日本台湾交流協会台北事務所は、日本食品の安全性を理解してもらえるよう引き続き努力するとしたが、まずはこれまでの取り組みを検証することが必要だろう。

 原発事故後、日本産食品の輸入規制は最大54カ国・地域に上ったが、これまでに29カ国・地域が規制を撤廃した。残る25カ国・地域の中には、台湾のほか香港や中国、韓国などが含まれる。中国については、10月の安倍晋三首相と李克強首相との会談で、中国側が科学的評価に基づき緩和を積極的に考えると表明している。

 東京大と福島大は昨年2月、日本を含むアジアと欧米計10カ国・地域の大都市の住民を対象に、原発事故の風評被害に関する調査を実施。「福島県産の農産物は不安だ」と回答した人の割合は、台湾で8割を超え、韓国や中国でも6割を上回るなど、欧米よりもアジア圏で高かったという。

 福島県では15年産以降、国の基準値を超える放射性セシウムが検出されたコメはない。水産物でも15年4月以降、基準値超えはなく、試験操業の対象は徐々に拡大している。風評被害を払拭するには、こうした検査体制や検査結果の発信を強化する必要があろう。

 アジアは日本の農林水産物の主要な輸出先だ。規制の撤廃が被災地の復興につながることを忘れてはならない。