日韓共同宣言20年 今こそ未来志向の関係を

10月12日 09:24

 日本と韓国の新たな協力関係をうたった「日韓共同宣言」から20年を迎えた。だが、宣言が目指した「未来志向」の関係構築はいまだ道半ばだ。あらためて宣言の意義や重みをかみしめたい。

 宣言は1998年10月8日、当時の小渕恵三首相と金大中[キムデジュン]大統領が東京で発表した。小渕首相は韓国国民に対し、植民地支配によって多大な損害と苦痛を与えたことについて「痛切な反省と心からのおわび」を表明。金大統領はこれを評価し、「過去の不幸な歴史を乗り越えて、未来志向的な関係を発展させるためにお互いに協力する」と約束した。

 その後、民間レベルの交流は一気に拡大。韓国は規制していた日本の大衆文化を開放し、アニメや音楽が人気を集めた。2002年にはアジア初のサッカーワールドカップ(W杯)を共催。日本を韓流ブームが席巻した。

 人の流れも大きく変わった。日本政府観光局によると、98年に約267万人だった日韓の年間往来者数は、昨年約945万人に達している。近年は就職のために韓国から日本へやって来たり、芸能界デビューを目指して韓国に渡ったりする若者も増えているという。

 一方、政治レベルの関係はむしろ後退した印象が強い。11年にソウルの日本大使館に従軍慰安婦問題を象徴する少女像が設置され、翌12年には当時の李明博[イミョンバク]大統領が竹島に上陸。歴史認識や領土を巡る対立が再燃し、関係が悪化した。日本では在日コリアンに対するヘイトスピーチが社会問題化している。

 先月末、米ニューヨークで行われた日韓首脳会談では、安倍晋三首相が慰安婦問題の最終解決を確認した15年の日韓合意の着実な履行を要請したが、文在寅[ムンジェイン]大統領は合意に基づき設立された財団に関し「正常に機能しておらず、枯死するしかない状況」と解散を示唆した。また、韓国が催した国際観艦式では、過去の観艦式では認められていた自衛艦旗(旭日旗)の掲揚をしないよう求められ、海上自衛隊が参加を見送るトラブルも起きた。

 一方、戦時中に日本に動員された元徴用工らが日本企業に対して賠償を求めた訴訟も韓国最高裁で審理中だ。日韓両政府は「解決済み」との立場だが、判決次第で再び火種となる可能性がある。

 政府間には、歴史問題が両国の関係を妨げることがないよう区別して対応する「ツートラック(二つの道)」が必要との声もある。日本が拉致や核・ミサイル問題を抱える北朝鮮と対峙[たいじ]していくためには、韓国との連携強化が欠かせない。

 日韓両国のリーダーが歩み寄って「過去」に区切りをつけ、新たな一歩を踏み出そうと国民に呼び掛けた日韓共同宣言は、「和解のモデル」として評価されている。両政府は今こそ、「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」を副題に掲げた20年前の共同宣言の精神に立ち返り、未来志向の関係構築を急いでもらいたい。