沖縄県知事選 「辺野古」正面から論戦を

9月14日 09:25

 翁長雄志知事の死去に伴う沖縄県知事選が13日告示された。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非が最大の争点で、移設を進める安倍政権が推す前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)と、移設反対を訴える自由党前衆院議員の玉城デニー氏(58)の事実上の一騎打ちの構図となった。

 移設を巡っては、県が8月、移設阻止への最後の手段とされる辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回に踏み切ったばかり。選挙戦では県民の意思を明確に反映させるためにも、両候補が移設の是非に正面から向き合い、論戦を展開してもらいたい。

 承認撤回はもともと、「あらゆる手段で辺野古への新基地建設を阻止する」としていた翁長氏が生前表明していた。同氏の後継として擁立された玉城氏は承認撤回を支持し、移設反対を貫徹するとしている。また、アジアとの交流促進などを基に、国の補助金に頼らない自立型経済の構築を掲げる。

 選挙体制についても、前回知事選で翁長氏の基盤となった保守系の一部と革新系を結集した「オール沖縄」の枠組みをアピールする。ただ、翁長氏を支持していた企業グループの一部が今回は自主投票を決め、前回自主投票だった公明党県本部が佐喜真氏を推すなど、ほころびが見られる。中道・保守層の取り込みが課題となろう。移設阻止についても、県民投票の実施以外に承認撤回に続く対応策を示しておらず、具体的方策が問われることになる。

 一方、佐喜真氏は「対立より対話」を強調。玉城氏と同様に普天間飛行場の早期返還を訴えるが、辺野古移設への賛否は明らかにしていない。承認撤回についても「法的にどうなるか注視する」と述べるにとどまっている。

 有力候補が県政最大の課題について立場をはっきりとさせないのは、「争点隠し」と批判されてもやむを得まい。佐喜真氏は、経済振興の財源として、国からの米軍再編交付金を挙げているが、これは辺野古移設が前提となるものだ。有権者にはその点も明確にして説明する責任がある。

 米軍を巡っては、両候補が共通して訴えている公約もある。日米地位協定の改定だ。

 協定によって日本の国内法は米軍に適用されず、米軍による事件や事故、環境破壊は事実上の治外法権とされてきた。この問題については翁長氏の働き掛けをきっかけに、沖縄県だけの課題ではないとして先月、全国知事会が協定の抜本的見直しを求める提言を政府に提出している。

 沖縄の米軍基地問題がここまでこじれた背景の一つには、こうした日米地位協定の在り方も含め、政府が地元の訴えに耳を傾けず、放置してきたことがある。

 今回の知事選がどういう結果になるにせよ、政府がこれまで同様の姿勢を続けるならば、対立の根本解消にはつながるまい。政府にこそ、沖縄の民意に正面から向き合い、対話が求められていることを指摘しておきたい。