防災の日 過去の教訓生かし備えを

9月2日 09:19

 1日は「防災の日」だった。関東大震災の発生日にちなみ、「広く国民が災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備する」として制定された。この日を中心にした「防災週間」(8月30日~9月5日)の期間中、県内をはじめ全国各地で防災訓練や啓発活動が行われている。

 防災には、何が起こり得るかをあらかじめ想定し備えておくことが、何よりも必要だ。今年も地震、豪雨など、犠牲者を伴う災害が相次いでいるが、危険性が予測されていたにもかかわらず、被害を防げなかった事例が目についた。「想定」を再確認し、具体的な対策に結びつけたい。

 6月の大阪府北部地震では、小学校のブロック塀が倒壊し、女児が巻き込まれた。ブロック塀については、40年前の宮城県沖地震から危険性が指摘され、現場の学校には専門家からも対策の要請がなされていたが、放置されていた。

 同地震では、屋内で倒れた家具の下敷きになった死者や負傷者も出た。これまでの地震で、家具の固定化の有効性は繰り返し唱えられてきたが、この教訓も生かされなかった。

 7月の西日本豪雨では、地域の災害危険度を示すハザードマップが、人的被害防止に十分に役に立たなかった所があった。大規模な河川氾濫が起きた岡山県倉敷市真備町では、多くの住宅が2階まで水没し51人の犠牲者を出した。浸水域はハザードマップの想定通りだったが、住民の避難行動に結び付いていなかったことが明らかになっている。

 危険性が予測されていても、具体的な対策や行動が伴わなければ意味はない。情報の伝え方を工夫するとともに、誰もが被災者になる可能性があるという当事者意識を持つことが必要だろう。

 「防災の日」を機に、自分たちが住む地域にどのようなリスクがあるのか再確認し、訓練などを通じて、その危機意識を行政と住民が共有するよう努めたい。

 さらに、命を守る行動に移すことができない災害弱者の存在も忘れてはなるまい。西日本豪雨では、犠牲者の約7割を高齢者が占めた。

 5年前の災害対策基本法改正に伴い、各市町村に要支援者名簿の作成が義務付けられた。政府はこの名簿を基に、それぞれを支援する人や避難先を定める「個別計画」を策定するよう促しているが、策定作業の遅れが指摘されている。

 地域住民が共助体制づくりに協力するとともに、国や都道府県も積極的に関与し、策定を急ぐ必要があろう。

 熊本地震では、私たち県民も大災害の恐ろしさを肌身で知った。だが、そこで得た教訓を十分に認識し、県内外に発信できているだろうか。例えばブロック塀倒壊では熊本地震でも犠牲者が出たが、その危険性の認識を共有することができず、同様の事故を繰り返してしまった。「あの日」を忘れずに残された課題を検証し、次の災害への備えに生かしたい。