ボクシング山根氏 責任の重さ自覚していない

8月10日 09:10

 審判員の不正判定疑惑や助成金の流用、過去の暴力団組長との関係などが批判を受けていた日本ボクシング連盟の山根明会長が辞任を表明した。山根氏は「男としてのけじめを話す」としていたが、8日の辞任表明の場では一連の問題には一切触れず、報道陣の問い掛けにも応じなかった。

 一方的な声明といった内容。ボクシング界への社会的信用を失墜させた責任の重さを自覚しているとはとても思えない。聞き逃せない発言もあった。唐突に「どうか選手の皆さん、東京五輪に参加できなくても、その次の五輪もあります」と述べたことだ。

 山根氏は9日、「言葉足らずだった。東京五輪に出られなかった選手にも次はあるということ」と釈明したが、「世界の山根」を自負する自分がいなくなれば、東京五輪での競技実施はおぼつかなくなる、との捨てぜりふにも聞こえる。

 ボクシングを巡っては、国際ボクシング協会(AIBA)も揺れている。2016年リオデジャネイロ五輪で不可解な判定が相次ぎ、八百長や買収の疑惑が浮上。昨年11月には金銭絡みの規約違反を指摘され会長が辞任し、会長代行に就いた人物はヘロイン売買への関わりが指摘されている。

 国際オリンピック委員会(IOC)は「ガバナンス(組織統治)を非常に懸念している」と異例の声明を発表し、バッハ会長は20年東京五輪の実施競技から除外する可能性にも言及している。そうした状況下で日本連盟の騒動が事態をさらに悪化させないか心配だ。

 このような人物がなぜ長きにわたってボクシング界を牛耳ってこられたのか。山根氏が辞任して事が済む問題ではない。山根氏の専横をここまで許してきた連盟の体質も問われよう。

 今回の件に限らず、レスリングの伊調馨選手へのパワハラや、日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題など、スポーツ界で「ボス支配」による悪弊が噴出している。

 権力が集中しないよう、民主的で透明性のあるスポーツ界に変えていかなければならない。東京五輪を前に、日本オリンピック委員会(JOC)やスポーツ庁はもっと指導力を発揮すべきだ。