西日本豪雨支援 熊本の教訓を生かしたい

7月16日 09:24

猛暑の中、住宅から家財道具を運び出す男性=15日、広島県坂町

 西日本豪雨の被災地では、猛烈な暑さの中で、多くの住民らが住宅に流れ込んだ大量の土砂を除去したり、浸水で損壊した家財道具を搬出したりする作業に追われている。3連休を利用して全国から大勢のボランティアも駆けつけ、過酷な作業を手助けしている。

 一昨年4月に熊本地震を経験した県内からも、「あの時、お世話になった恩返しを」とボランティアに参加した人も多いようだ。現地では熱中症で救急搬送される人が続出している。被災地の住民、支援者とも体調管理に十分気をつけて1日も早い復旧、復興に当たってもらいたい。

関連死多発の懸念

 九州から近畿まで広範囲にわたって大雨特別警報が出されてからきょうで10日になる。死者は200人を超え、安否不明者の捜索も続いている。記録的な豪雨をもたらした梅雨は明けたが、地盤が緩んだままの所も少なくない。局地的な雷雨で新たな災害が発生する恐れもあり油断は禁物だ。大量の土砂や流木によって、ため池が決壊する恐れも指摘されている。想定外の被害を出さないよう、くれぐれも警戒を緩めないでほしい。

 住宅被害も深刻で約5千人が避難生活を続けている。猛暑の中、不自由な暮らしが長期化すれば、健康な人でも体調を崩すリスクが高まる。熊本地震では、避難後に亡くなる災害関連死が200人を上回り、建物の倒壊などで犠牲になった直接死の4倍を超えた。

 避難所での健康を守るには、体調、衛生管理の徹底が欠かせない。トイレの心配から水分を控えて脱水症状になる人もいる。被災地では今後も猛暑が続く見通しで、健康や衛生面の悪影響も心配される。

断水の解消急いで

 家屋の浸水で多くの住民が避難生活を送る岡山県倉敷市には、熊本地震などを教訓に組織された厚生労働省の災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)が派遣され、医師や保健師ら5人が感染症対策や支援物資の割り振りなどに当たっている。避難長期化による二次被害が起きないよう、小まめに巡回し、被災者の健康状態をチェックする必要があろう。スタッフの増員も視野に入れ、万全を期してもらいたい。

 一方、道路網や通信ネットワークといったインフラ、電気やガスなどライフラインは徐々に復旧しつつあるという。しかし、断水の解消はこれからだ。厚労省によると、広島県の呉、尾道、三原の各市や愛媛県宇和島市などを中心に約16万戸で断水が続いている。

 避難所ではトイレの水が足りずに不自由な生活を余儀なくされている。泥や汗を洗い流すこともままならない状態では、後片付けも容易に進まず、医療機関の診療にも支障が出よう。

 熊本地震の時もそうだったが、断水の解消は被災者の心身を落ち着かせ、復旧作業を続ける際の活力の源ともなる。一刻も早い飲料水や生活用水の確保に向け、国と被災自治体との連携はもちろん、被災を免れた都道府県の応援も仰ぎ、給水態勢の強化、損壊した浄水場や取水場の修復作業を急ぐ必要がある。

地震の知見復旧に

 政府はおととい、西日本豪雨を「特定非常災害」に指定した。被災によって行政手続きができなくなった住民を救済するものだ。加えて、仮設住宅への入居や被災者生活再建支援金の受け取りに必要な罹災[りさい]証明書を迅速に発行できるよう、被災自治体への応援職員の派遣も増強する方針だ。

 熊本地震では、罹災証明書の発行を含めさまざまな課題が浮き彫りとなった。あの地震によってわれわれが得た多くの知見や教訓を西日本豪雨被災地の復旧、復興に生かし、県民が一体となって積極的に手助けしたい。