絢子さま婚約 皇室の在り方早急に議論を

7月5日 09:20

 高円宮家の三女、絢子さまと日本郵船社員の守谷慧さんの婚約内定が正式に発表された。皇族の結婚は2014年10月の高円宮家の次女、千家典子さん以来となる。

 現在、天皇陛下と皇族で構成する皇室は19人。皇室典範は、女性皇族は結婚すると皇室を離れると定める。秋篠宮家の長女、眞子さまの婚約も内定したものの「十分な準備」などを理由に20年まで結婚を延期されたが、そのときが来れば皇室は17人に減ってしまう。

 絢子さまと眞子さまのほか、未婚の女性皇族は5人。これから結婚による皇籍離脱が相次げば皇室の先細りは避けられず、安定的な皇位継承まで揺らぐ。慶事の陰で進む皇室の「危機」にも、目を凝らす必要がある。

 しかし、政府の動きは鈍い。来年に迫った天皇の代替わりを円滑に進めることを最優先し、女性皇族が結婚後も皇室にとどまれるようにする「女性宮家」の創設などの検討は一向に進まない。

 小泉政権下で05年、有識者会議が女性・女系天皇の容認と女性宮家創設を提言。野田政権も12年に女性宮家の検討を打ち出したが、安倍晋三首相は天皇が男系で継承されてきた伝統を重視し、議論への深入りを避けてきた。女性宮家は女性・女系天皇の誕生につながる可能性があり、首相の支持基盤である保守層に強い抵抗があるからだ。

 しかし、昨年6月に成立した天皇陛下の退位特例法の付帯決議は、女性宮家などの皇族減少対策について退位後速やかに検討するよう政府に求めている。

 首相はかつて国会で、戦後に皇籍を離れた11宮家の子孫を再び皇室に迎え入れるのも選択肢という認識を示したことがある。ただ、70年もの間、民間人として過ごしてきた旧宮家の人たちが皇室への復帰を望むか、国民に皇族として受け入れてもらえるかも定かではない。

 結婚により皇室を離れた女性の元皇族に公務を委嘱するとの案もある。しかし、それでは公務の担い手を確保することはできても、安定的な皇位継承にはつながるまい。

 皇族が担ってきた、さまざまな公務をどう扱うのかについても結論は出ていない。皇族の減少により、現在のような皇室の活動を維持するのが困難となることは確実だろう。天皇陛下の退位によって皇太子さまの公務を引き継がれる秋篠宮さまは、昨年11月の誕生日会見で「私の今しているものを譲る先がない」と現状への不安を明かされている。

 さらに女性宮家については、夫や子に皇族の身分を与えるかどうか、といった論点もある。女性皇族にとっても人生を左右する大問題だろう。

 皇室を巡る問題は多数決にはなじまず、合意形成には時間がかかる。絢子さまの婚約内定を機に、来年4月30日に「平成」を閉じ新たな時代を迎える皇室の在り方や活動について、一刻も早く本格的な議論に取り掛かるべきだ。