骨太方針 政権に危機感はあるのか

6月18日 09:13

 政府が経済財政運営の指針となる「骨太方針」を閣議決定した。少子高齢化を日本経済が直面する最大の課題と位置付け、外国人労働者の受け入れ拡大と、教育無償化を柱とした「人づくり革命」を主要政策に据えた。看板政策を毎年掛け替え、政権浮揚を図ってきた安倍政権の真価が問われる。

 外国人材の活用促進では、新たな在留資格の創設を決めた。単純労働分野での就労を事実上容認し、政策の方針転換を図るものだ。外国人労働者は昨年10月時点で約128万人。これまでは原則、専門知識がある人材に限って受け入れてきたが、実際は留学生のアルバイトや技術の習得を名目とした技能実習生が4割を占め、多くが単純労働に従事している。

 新資格は人手不足が深刻な業界の要請を受けた形だ。今秋の臨時国会にも入管難民法改正案を提出し、2025年までに50万人超を見込む。対象は国内だけでは人手を確保できない農業、建設業、造船、宿泊、介護の5分野を想定。業界ごとの技能試験や日本語能力試験などで一定水準を満たすことが要件で、技能実習を3年以上経験した場合は試験を免除する。

  外国人労働者の受け入れ拡大は、移民政策の是非もからみ長年論争があった大テーマだったが、あっさりと決まった。しかし、技術習得を目的とする現在の外国人技能実習制度でも、賃金不払いや過重労働などが社会問題化している。十分な就労環境を整備しないまま、単に人手不足の穴埋めを図るものになってはなるまい。

 「人づくり革命」では、19年10月の消費税増税を明記し、その増税分を使って増税と同じ時期から幼児教育と保育を無償化。低所得世帯を対象とした大学無償化も20年度から実施する。社会人が大学などで学び直す「リカレント教育」への支援拡充も盛り込んだ。
高齢者を社会の担い手として活用することも打ち出した。働いて一定以上の賃金を得ている人の年金額を減らす制度を見直し、働く意欲をそがないよう減額幅の縮小を検討。元気な高齢者を介護や保育現場で雇用するとした。

 こうした政策を掲げる一方で、最大の焦点である財政再建に向けた取り組みは実効性を欠くと言わざるを得ない。消費税増税を明記したものの、それによる家計負担増や20年の東京五輪・パラリンピック後の需要減退を補うとして景気対策を打ち出した。

 また、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化時期を従来目標から5年遅らせて25年度とし、社会保障などの歳出抑制に向けた数値目標の設定は見送った。成長重視の政策運営が改めて鮮明となり、歳出改革が後回しになる懸念が強まった。

 25年には団塊世代が全員75歳以上になる超高齢化と人口減少で、日本経済は地盤沈下する恐れがある。これを防ぐには、財政再建と成長戦略を同時進行する難しいかじ取りが必要だが、今回の骨太方針からは安倍政権に危機感があるのか疑問を抱かざるを得ない。