福島第2原発廃炉 具体的道筋を示すべきだ

6月17日 09:16

 東京電力が停止中の福島第2原発の全4基の廃炉を検討する方針を示した。正式決定すれば、第1原発の全6基と合わせて福島県内の全原発の廃炉が実現する。2011年3月の第1原発事故から7年余り。地元住民を翻弄[ほんろう]してきた経緯を振り返ると、あまりに遅すぎた決断と言える。

 第2原発は第1原発の南12キロに立地し、出力110万キロワットの大型炉4基からなる。東日本大震災でメルトダウン(炉心溶融)を起こし大量の放射性物質が放出された第1原発と異なり、外部電源の一部が使えたことなどから震災4日後までに原子炉の安定的な冷却に成功した。

 原子炉内の核燃料は使用済み燃料プールへ移送し、15年3月までに全4基で取り出しが完了。現在は、第1原発の廃炉作業の後方支援拠点として汚染水タンクの組み立てなどに活用されている。

 4基は運転開始から30~36年が経過しており、原則40年の運転期間に近づきつつある。再稼働のため新規制基準に適合させるには多額な投資が必要となる上、強く反対している地元の同意を得られる見通しもなく、現実的には廃炉しか選択肢はなかった。

 しかし、廃炉決定は経営に影響するため、東電はこれまで「国のエネルギー政策などを総合的に判断する」「第1原発廃炉の後方支援に必要だ」などとして明確な意思表明を避けてきた。

 こうした曖昧で誠実さに欠ける対応が、被災地の復興を妨げてきたことは明らかだ。避難指示が解除されても、再稼働の可能性を懸念して帰還をためらった住民もいるだろう。第2原発が立地する楢葉町の松本幸英町長は「一歩前進したが、もっと早い段階で判断ができたのではないか」と話す。

 今回の廃炉表明の背景には、第1原発で発生する汚染水の海洋放出を目指す東電側が、地元との交渉を有利に進めたいという思惑があったからとも指摘される。それは、避難生活や風評被害に苦しんできた地元を再び翻弄することにつながらないか。東電は、地域の再生にも重い責任を背負っていることを深く自覚するべきだろう。

 安全な廃炉を実現するには課題が山積している。作業を始めるには原子力規制委員会による廃炉計画の認可が必要。通常は30年程度かけて原子炉などを撤去し、敷地を更地にする。作業では、原子炉内の構造物や建屋のコンクリートなど膨大な放射性廃棄物が発生するが、処分先は決まっていない。

 巨額の廃炉費用も問題だ。東電は第2原発の廃炉費用を約2800億円と見込むが、放射性廃棄物の処分などで増える恐れもある。収益改善のカギとする柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働も、地元の強い不安から見通せていない。

 さらに第1原発と並行しての廃炉作業となり、作業員の確保も懸念されている。万全な体制確保のため、各電力会社や国との連携も必要になるだろう。東電はまず、廃炉までの具体的な道筋となる工程表を示すべきだ。