G7サミット 対立防ぎ協調体制修復を

6月10日 09:30

 先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が8日、カナダで開幕した。討議は初日から米国が進める保護主義的な通商政策を巡り、他国との意見の対立が鮮明となった。国際融和の大きな一歩となることが期待されている米朝首脳会談を前に、米国を中心にした国際協調体制の足元が揺らいでいる。

 G7は貿易問題で「G6対米国」の構図が続いている。米国は3月、日本や中国などを対象に、鉄鋼とアルミに関税を上乗せする輸入制限を発動。6月には対象を欧州連合(EU)やカナダなどにも拡大した。

 これに対し、EUとカナダは米国からの輸入品に高関税を課す報復措置に踏み切る考えを表明。米国はさらに自動車の関税上乗せを検討し始め、貿易摩擦はエスカレートする様相を呈している。

 サミットを前に開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議でも、各国が米国の輸入制限に懸念を表明。議長国のカナダが米国以外の6カ国の総意として、「開かれた貿易や世界経済の信頼性を損なう」と米国を名指しする異例の総括を発表していた。

 サミットの初日討議でも、多くの国から米国の政策に対し、批判的コメントが出されたという。正当性を主張する米国との溝は依然として埋まる兆しがなく、議論は平行線のままだ。

 ただ、米朝首脳会談については、成功を後押しすることを確認。北朝鮮に「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を求める方針で一致した。とはいえ、G7内の米国の孤立化が浮き彫りとなった現状では、米朝会談を支えるアピールもかすむことになろう。

 昨年のサミットでは、トランプ米大統領が譲歩し「保護主義と闘う」とした首脳宣言を採択した。にもかかわらず今年、トランプ氏が保護主義的政策を進め始めたのは、11月の米連邦議会の中間選挙をにらみ、自国の製造業を守る姿勢を明確に示すことで支持層へアピールする狙いだろう。

 しかし、報復課税の応酬など貿易摩擦の深刻化は、米国経済にとっても決してプラスにはならない。G7の結束が揺らげば、政府補助金を基にした過剰生産や知的財産の侵害など、貿易分野の課題を多く抱える中国に改革を迫る上でも障害となる。米国の金利上昇に伴う新興国の通貨安問題への協調対応も心配だ。

 世界経済の安定成長のためにも、G7各国はそうした危機感を共有し、これ以上の対立拡大を防がなければならない。米国に対する説得を粘り強く続け、協調体制を修復してもらいたい。

 安倍晋三首相も、初日討議で「G7が貿易制限措置の応酬に明け暮れることは、どの国の利益にもならない」と述べ、各国に協調を呼び掛けた。北朝鮮問題ではトランプ氏との連携を重視せざるを得ない立場だが、通商政策では自由貿易体制を守る立場を毅然[きぜん]として米国に主張するべきだ。トランプ氏との個人的な関係を軸にした安倍外交の今が正念場と言える。