企業の好決算 一歩先見据えた経営戦略を

5月16日 09:04

 上場企業の2018年3月期決算がほぼ出そろった。円安を追い風とした海外事業の拡大やインバウンド(訪日外国人)需要などを背景に過去最高益を更新する企業が相次ぎ、東京証券取引所第1部上場企業の純利益総額は30兆円規模に達する見通しだ。

 特に今期は製造、非製造業ともに幅広い業種で回復の波が広がっている。経営効率化や時代を読んだ製品開発など、本業における収益力向上の結果といえよう。

 ただ、先行きをみると、19年3月期は資源高や円高シフト、米中の通商摩擦への懸念などから多くの企業が減益を予想し、慎重な見方が強まっている。今後、積み上がった内部留保を設備投資や賃金に回し、内需拡大の力強い好循環につなげていく必要がある。

 SMBC日興証券がまとめた東証第1部上場企業1171社の18年3月期決算(11日現在、全体の約80%)によると、本業のもうけである営業利益は前期比15・9%増、純利益も23・1%増と、2ケタの高い伸びとなった。

 中でも、けん引役となったのが輸出関連を中心とする製造業だ。自動車では2兆4千億円の利益を計上したトヨタをはじめ、ホンダやスズキも過去最高益を更新。米国や中国、アジアで大きく販売を伸ばしたほか、円安で推移した為替相場が利益を押し上げた。

 数年前、総崩れ状態にあった電機大手7社も、シャープが黒字転換したのをはじめ、ソニーや三菱電機など6社が大幅増益を達成。スマートフォンや産業用ロボット向けの半導体などが好調で、生産品目の絞り込みや高付加価値化でV字回復を実現した。

 九州においても、JR九州や西日本鉄道など運輸が不動産や物流の活発化で過去最高益となったほか、不振だった百貨店の岩田屋三越もインバウンド効果で増収増益を確保。省力化機械を手掛ける平田機工(熊本市)も半導体や自動車産業向けが伸び、売上高、純利益とも過去最高だった。

 上場企業が少ない県内の場合も、ほぼ同様の傾向がうかがえる。日銀熊本支店の調査では、県内主要企業の17年度売上高、経常利益は前年度比プラスで推移。県内には半導体関連など好調な業種の生産拠点が多く、同支店は、復興需要をベースに県内企業の業績もおおむね良好とみている。

 しかし、今後については不安要素も少なくない。トランプ大統領の言動が政策に直結する「トランプリスク」が付きまとう米国の動向や原油価格上昇などで、世界経済の見通しは不透明だ。さらに国内では深刻な人手不足が人件費だけでなく、本業にも影を落としており、看過できない経営リスクとなっている。

 特に県内では来年以降、消費税増税に復興需要の反動減が重なれば、経営環境が一気に悪化する恐れもある。足元の業績が好調な今こそ、生産性向上に向けた省力化投資やインバウンド需要の取り込みなど、一歩先を見据えた経営戦略に磨きをかけてもらいたい。