「カジノ法案」提出 依存症対策が十分でない

4月29日 09:21

 政府はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案を閣議決定し、国会に提出した。IRは全国で最大3カ所を整備できると明記。日本人客のカジノ入場は週3回、月10回までとし、料金は6千円を徴収するなどの規制内容が盛り込まれた。

 昨年12月に与野党がそれぞれ提出したギャンブル依存症対策法案の審議は進んでおらず、依存症や立地地域周辺の治安悪化といったカジノに対する国民の不安は払拭[ふっしょく]されていない。まず万全の依存症対策を整えてから、IR法案の審議に入るのが筋ではないか。

 政府、与党は依存症対策として「世界最高水準のカジノ規制」を掲げ、入場時にマイナンバーカードで確実な本人確認をするほか、依存症患者やその家族から申告があれば入場も禁止にする方針などを打ち出した。

 しかし与党協議の過程で目立ったのは、対策の実効性に関する議論ではなく、整備箇所数の拡大や入場回数制限の緩和を主張する自民党の前のめりの姿勢だった。

 国内には、既に競馬などの公営ギャンブルに加え、パチンコやパチスロなどもある。政府が昨年、20~74歳の1万人を対象にした面接調査では、有効回答4685人のうちギャンブル依存症になった経験があると疑われる人は3・6%。国勢調査のデータで単純計算すると約320万人になる。

 そこへ、カジノが入ってくる。ギャンブル依存症に陥るリスクは海外の比ではない。カジノが新たな入り口となり、依存症患者がさらに増えることが当然予想される。

 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」が患者の家族に聞いた調査では、200人中166人(83%)が借金の肩代わりをしたことがあると回答。依存症は家族を巻き込み、犯罪の引き金にもなる。2016年に全国で摘発された刑法犯のうち、動機・原因がパチンコは1329件、競馬や競輪などは999件に上っている。

 共同通信が3月に実施した世論調査では、カジノ解禁に反対が65%を占めた。安倍晋三首相は成長戦略の柱に据えているが、そもそも賭博を前提にした成長戦略が必要なのか。改めて議論してもらいたい。