次官セクハラ疑惑 事実ならば罷免に値する

4月17日 09:10

 これが「官庁の中の官庁」と言われる財務省の事務方トップなのかと、あきれてしまう。

 「週刊新潮」が報じた福田淳一事務次官のセクハラ疑惑だ。女性記者らを夜の飲食の席にたびたび呼び出し、「抱きしめていい?」「浮気しよう」などとの発言を繰り返したという。福田次官の女性記者への発言とされる音声もインターネット上で公開された。

 福田氏は16日、疑惑を否定するコメントを発表し、辞任する考えがないことを示した。名誉毀損[きそん]で新潮社を提訴する準備も進めているという。一方、財務省は外部の弁護士に委託して調査する方針を表明。報道各社に対しては、同省記者クラブの加盟各社の女性記者に調査への協力を依頼した。

 公務員の任免や懲戒などを定める人事院規則には「各省庁の長はセクハラ防止や排除に必要な措置を講じなければならない」とある。範を垂れるべき立場の福田氏の疑惑が事実ならば言語道断だ。その地位にとどまる資格はなく、罷免に値しよう。

 最近の国家公務員幹部による不祥事では、福岡高検の前刑事部長が、懇親会の席で部下の女性にセクハラ発言をしたとして、今年3月に減給の懲戒処分を受け、依願退職した。今月に入っても厚生労働省の健康局長が女性職員にセクハラが疑われるメールを送っていたとして口頭注意されている。

 国は1997年の男女雇用機会均等法改正で、女性労働者へのセクハラ防止規定を初めて盛り込んだ。だが20年が経過しても被害は後を絶たない。昨年12月に内閣府が発表した「人権擁護に関する世論調査」によると、女性に関する人権問題として「セクハラ」を挙げたのは42・9%(複数回答)に上り、「職場での差別待遇」の50・5%に次いで多かった。

 男女雇用機会均等法は、職場で意に反する性的な発言や行動により、労働者が不利益を受け、就業環境を害されることがないよう対策を取ることを義務づけている。

 加害者には上司や同僚以外に顧客や取引先の社員も含まれる。福田氏がセクハラ発言をしたとされる相手は記者だが、自らの立場を利用して取材する側の弱みにつけ込もうとするものではないか。

 看過できないのは麻生太郎副総理兼財務相が当初取った対応だ。「事実ならセクハラという意味ではアウト」としながらも、「これまでの実績などを踏まえると、この一点で能力に欠けるとは判断していない」と述べ、調査や処分はしない方針を示していた。

 安倍政権は、「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げる。その先頭に立つべき閣僚の対応とはとても信じ難い。あまりに問題意識が希薄ではなかったか。背景に「たかがセクハラ」といった弛緩[しかん]した雰囲気があるとすればなにをか言わんやだ。

 森友、加計学園問題や自衛隊の日報隠蔽[いんぺい]問題など相次ぐ官僚の不祥事は、国民の行政に対する信頼を失わせている。安倍晋三首相の監督責任も免れまい。