「防災庁」構想 組織一元化で教訓継承を

3月14日 09:18

 東日本大震災から7年を迎えたが、被災者の生活再建はいまだ道半ばだ。津波の被災地では、高台への集団移転か、市街地のかさ上げかなど、自治体や住民の選択によって復興の進み具合も異なる。

 国が手厚く財政支援する10年間の「復興・創生期間」は、2021年3月末まで。これに合わせ復興庁も役割を終える予定だ。国の支援がどうなるのか、被災地の不安は計り知れない。残る3年間、復興に向けて最大限の努力を続けるのは当然だが、その後復興庁を廃止するのか、新しい組織にするのかも検討を急ぐ必要がある。

 東北3県の復興を考える際、第一に優先すべきは福島県での取り組みだろう。数十年単位とみられる東京電力福島第1原発の廃炉をはじめとする原発事故への対応を重視し、放射性物質の除染や避難者の帰還、地域再生などの課題にきめ細かく対処するべきだ。

 帰還困難区域内に人が住める場所を設ける「特定復興再生拠点区域」の整備や、沿岸部をロボット産業の拠点とするイノベーション・コースト構想など、復興期間終了後も続く課題は多い。これらの実現は自治体だけでは難しく、中心となる国の組織が欠かせない。

 さらに、復興を通じて得た教訓をどう継承していくかも重要となる。例えば、市街地のかさ上げ工事は時間がかかるため、避難先の内陸部で生活基盤を固めた被災者も多い。復興に向けた行政判断が地域づくりにどう影響したか、語り継いでいかなければならない。

 にぎわいを復興するため、従来のインフラ整備に加え、複数の企業が組んで経営を再建するグループ補助金や、大企業と地域の中小企業が協力し合う仕組みづくりといった前例のない取り組みも進められた。これらを検証し、ノウハウを引き継ぐ上でも、新しい組織が求められる。

 政府、与党では、新組織の福島県内への移転や、内閣府への復興担当部門の新設など複数の案が浮上している。一方、防災の専門家や自治体関係者からは「防災庁」の創設を求める声が上がる。

 新たな官庁をつくるには、厳しい財政難の中で人員や予算を確保するなど高いハードルがあろう。しかし、災害と向き合う組織を一元化して、事前の備えから復旧・復興までを担う防災庁ができれば、東日本大震災の教訓は継承され、全国的な防災力の強化にもつながるはずだ。

 具体的には、内閣府が持つ防災の機能と、復興庁の機能を統合する。そうすれば、災害に強い街づくりから、発生後の緊急対応、復興や産業振興まで切れ目ない対応ができる。専門の職員を一定数確保すれば、経験やノウハウの継承もより円滑となろう。

 防災庁創設は1995年の阪神大震災以降、繰り返し議論されてきた。昨年の全国知事会議でも、熊本地震や九州北部豪雨などの経験を踏まえて設置が提案されている。被災地の声を尊重し、安心できる施策を打ち出すためにも本腰を入れて検討するべきだ。