被災自治体応援 長期的な視点での体制を

2月14日 09:07

 熊本地震の被災11市町村で、復旧・復興業務を担うために全国の自治体から派遣される応援職員が不足している。2018年度、確保できたのは必要数の半分に届かないことが県の集計で分かった。

 九州を中心に、昨年7月の九州北部豪雨の被災地にも職員を派遣しなければならないことなどが影響しているという。被災市町村からは「復興の遅れにつながる」と懸念する声も上がっている。

 自治体間の職員派遣は地方自治法に基づき、期間は通常1年間。熊本地震では、九州地方知事会が採用した「カウンターパート」方式に基づく派遣が中心で、被災した市町村ごとに応援に入る県が割り振られている。

 17年度は県内13市町村が217人を希望し、29都道府県の自治体が129人を派遣した。不足分は被災市町村が任期付き職員を採用したり、業務の一部を民間委託したりして補ったという。

 18年度は11市町村が196人の派遣を希望しているが、九州・沖縄・山口9県からの派遣は17年度の86人から64人に減り、特に九州北部豪雨で甚大な被害が出た福岡県は25人から13人に半減する見通しだ。このため県は全国に協力を呼びかけ、同地域以外の11都道府県から23人の派遣が決定した。しかし9日現在の充足率は44%にとどまっている。例えば益城町の場合、技術職や事務職などで県内最大の89人を希望するが、58人の不足が見込まれている。

 応援職員が減少した背景には、九州北部豪雨のほかにも、東日本大震災の被災地や東京五輪組織委員会への職員派遣などの影響もうかがえる。派遣する側の自治体も行財政改革などで職員を削減しており、長期の応援を続けられない事情もあるようだ。

 発生から間もなく7年となる東日本大震災の被災地も同じ状況だ。総務省によると、岩手、宮城、福島3県に全国の自治体から派遣された応援職員は2017年4月時点で1782人。集計を始めた11年7月時点の2422人と比べると、4分の3の水準まで減少している。被災者の生活を支えるボランティアも減少し、支援の手は先細るばかりだ。

 被災地でのマンパワー不足は、復旧・復興事業の遅れにつながるだけでなく、行政職員一人一人に長時間労働を強いることになり、心身の変調を招きかねない。被災地の自治体や職員を孤立した状況に追い込まないよう、全国的な応援職員の配置については国のかじ取りがさらに必要だろう。

 野田聖子総務相は、熊本地震の経験を踏まえ、「カウンターパート」方式を全国一元的な仕組みとして4月に制度化する方針を打ち出した。迅速な支援体制が全国的に確立することには意義があるが、長期的な視点での制度設計も望みたい。東日本や熊本などの復旧・復興は、長い道のりとなることは避けられないからだ。

 継続的な被災自治体の職員応援体制の確立に向けて、国の積極的な姿勢が求められている。