陸自ヘリ墜落 住民の安全確保の徹底を

2月7日 09:21

 陸上自衛隊のヘリコプターが5日夕、点検整備後の試験飛行中に墜落し、佐賀県神埼市の2階建て住宅に突っ込み炎上した。ヘリの隊員2人が死亡。民家に1人でいた小学5年の女児が軽いけがを負ったが、同じ敷地内の平屋に住む祖母と逃げて命拾いした。

 現場は近くに小学校や幼稚園もある住宅密集地だ。普段から自衛隊機が飛び交う航路の下とはいえ、まさか垂直落下事故が起きるとは住民も思っていなかっただろう。国民の命と安全を守るはずの自衛隊機が、住民を巻き込む事故を起こした衝撃は極めて大きい。

 墜落したのは、同県吉野ケ里町の目達原[めたばる]駐屯地に所属する全長約18メートル、最大総重量約10トンの2人乗り戦闘ヘリ。陸自と県警などが業務上過失致死と航空危険行為処罰法違反の容疑で調べている。事故原因を徹底的に究明し、防止策を速やかに講じてほしい。

 ヘリは4枚の羽根を本体につなぐメインローターヘッドという部品を交換後に離陸し、7分後に墜落した。飛行中にこの部品が分離したとみられ、部品または整備に問題があった可能性がある。また、整備後に点検飛行する際、通常は民家などを避けて飛行するとの指摘もある。なぜ住宅密集地に墜落したのか。

 さらに現場は、陸自がオスプレイ17機の配備を計画している佐賀空港からも約15キロしか離れていない。オスプレイと共に、墜落機と同型を含むヘリ約50機の移駐も計画されている。安倍晋三首相は同型機の当面の飛行禁止と全てのヘリの徹底した整備点検を指示したが、事故を目の当たりにした住民らの不安が高まるのは必至だ。

 自衛隊機は昨年1年間だけで3件の死亡事故を起こしている。佐賀県の山口祥義知事も、事故の続発を受けてオスプレイ受け入れの最終判断を保留している。背景には、北朝鮮情勢などによって実任務が増え続け、訓練が十分にできていないことがあるとの指摘もある。

 政府は再発防止策について具体的かつ分かりやすい説明を尽くすことが求められる。国の安全保障を担う基地が、地元住民の安全と理解の確保を徹底することなしには十分機能しないことを改めて肝に銘じてもらいたい。