介護報酬改定 「生活を支える」が原点だ

1月30日 09:25

 厚生労働省は、2018年度からの3年間、介護保険サービス事業所に支払う介護報酬の改定方針をまとめた。リハビリによって高齢者の自立支援や状態改善に取り組む事業所に対して、報酬を手厚くするのが特徴だ。


 リハビリで手厚いケアが必要な重度の高齢者が増えるのを防げば、介護費用は安く抑えられる。高齢者も、できることが増えれば生活の質は向上する。事業者間の競争はより良いサービス提供にもつながる-と厚労省は見込む。

 しかし現実には、簡単に状態が改善しない人も多い。改善の評価基準をどうするか、という課題も残されている。

 介護保険は本来、援助が必要になった人の生活を支え、その人らしい選択を保障し、生活の質を維持していくのが目的だ。やみくもに自立や改善を目指すような「押し付け」に陥ってはならない。

 高齢化を背景に介護費用は急増を続けている。18年度は予算ベースで11兆円を超え、団塊世代が全員75歳以上となる25年度には21兆円に膨らむ。65歳以上の介護保険料も現在、全国平均で月約5500円だが、25年度には8千円を超えるという推計がある。

 そこで、自立支援の取り組みを報酬で評価する仕組みを導入し、重度の人が増えるのを防ごうというのが改定の狙いだ。

 現在の仕組みでは、事業所への介護報酬は利用者の要介護度が上がると増え、下がると減る。質の高いサービスで高齢者の状態が改善すると、事業所収入は逆に減ることになる。事業所の努力をきちんと評価する制度の導入は長年の課題だった。

 ただし介護保険は、「治す」が目的の医療とは性格が異なる。利用者の意思を尊重し、それぞれの事情に配慮しながら生活を支えていく視点が大切だ。

 訪問介護では、掃除や調理などの「生活援助」について、利用回数が全国平均を大きく上回る場合は市町村がケアプランを検証する仕組みを設けることになった。家政婦代わりに使われているとの批判があったためだ。

 しかし訪問介護には、認知症の人の見守りや症状把握など多様な役割がある。回数だけを見る機械的な判断は避けるべきだ。

 今回は医療機関に支払われる診療報酬と同時改定となったため、医療と介護の連携を強化する仕組みも設けた。高齢者のみとりに対応できるよう、夜間や早朝に医師が駆けつける態勢を整えた特別養護老人ホームへの加算を新設し、実際にみとると従来よりも報酬を上乗せする。「住み慣れた場所での最期」は最も大切な選択の一つだろう。人的・経済的に支える仕組みへつなげていきたい。

 介護現場は依然として人手不足だが、一人一人のニーズにあった質の高いサービスは、魅力ある介護職場があって初めて実現するものだろう。賃金アップをはじめ、職場環境の改善は急務だ。負担増も含めた幅広い議論に向き合う時期に来ている。